日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

学ぼう!にほんご 中級 第21課「なんともったいないことか」の教案

『学ぼう!にほんご 中級』

心が動いた出来事(感心した・驚いた・がっかりした・ありがたかった)を、ただ「すごかった」「びっくりした」で終わらせず、どう心が動いたのかまで相手に伝える課です。5つの学習項目は、役割で3つに分けると整理しやすくなります。①理由と気持ちを結ぶ形(〜だけあって/だけに/だけのことはある:「〜だから、それにふさわしく」「〜だから、なおさら」)、②気持ちを先に言う・一つを強く押し出す形(〜ことに・〜こそ)、③気持ちの大きさそのものを伝える形(〜ことか・〜くらい/ほど)です。とくに①の3つは見た目が似ているので、「期待どおりで感心」「だからこそ一層(良いことにも悪いことにも)」「文末で評価する」という違いを、同じ出来事で言い比べて押さえるのがこの課の芯です。最後は、旅行やイベントで感激した・驚いた経験を語る活動で、①〜③を一つずつ入れて話させます。

このページについて教科書の本文・例文・練習の文は載せていません。例文と場面はすべて自作です。課の題と学習項目の表記は本の目次に合わせています。
学習項目5時間90分×2コマ

この課のねらい(Can-do)

  • 評判・立場・経験などを理由に置き、「〜だけあって」「〜だけのことはある」で期待どおりだったことに感心し、「〜だけに」で、そうだったからこそ気持ちが一層強くなったこと(喜び・落胆)を言える
  • 「驚いたことに」「残念なことに」のように気持ちを先に示してから出来事を述べ、作文やスピーチで聞き手の注意を引ける
  • 「〜こそ」「〜からこそ」で、ほかでもないそれだと一つを強く押し出し、感謝や決意をはっきり伝えられる
  • 「なんと/どんなに〜ことか」や「〜くらい/ほど」の極端なたとえで、気持ちの大きさを大げさになりすぎず表せる

進め方と時間配分

目安は 90分×2コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
導入(目標の場面)15分教師が「最近、『わあ』と思ったことはありますか」と聞き、学生の答え(「おいしかった」「びっくりした」)を黒板に集める。教師が自分の体験を「すごかった」だけで話したあと、この課の形を使って話し直して見せ、どちらがよく伝わるかを聞いて、気持ちの伝え方を増やす課だと予告する。黒板に「理由と気持ち」「気持ちを先に・一つを強く」「気持ちの大きさ」の3つの箱を作る
学習項目1 〜だけあって/だけに/だけのことはある35分同じ出来事(評判の店の料理がおいしかった/楽しみにしていた花火大会が雨で中止になった)を3つの形で言い比べ、「期待どおりで感心」「だからなおさら」「文末で評価」の違いを表にする
学習項目2 〜ことに20分出来事の文の前に「うれしいことに」「困ったことに」を足して、気持ちを先に言う効果を確かめる。前に来る言葉(感情の形容詞・動詞のた形)を板書で固定し、書き言葉寄りの形だと押さえる
学習項目3 〜こそ25分「こちらこそ」「今度こそ」の決まった言い方から入り、「Nこそ」「〜からこそ」で、ほかのものではなくそれだと強く言う働きを整理する
学習項目4・5 〜ことか・〜くらい/ほど35分「とてもうれしかった」を、「どんなにうれしかったことか」と「泣きたいくらいうれしかった」に言い替え、詠嘆で大きさを伝える形と、極端なたとえで大きさを伝える形を並べる。初中級で学んだ「くらい/ほど」との違い(説明のためのたとえから、気持ちを伝えるたとえへ)を確かめる
目標の活動(感激・驚きの体験を語る)35分旅行・イベント・アルバイト先などで心が動いた体験を1分で話す。3つの箱から一つずつ形を入れ、聞き手は「それは〜だけのことはありますね」「それこそ〜ですね」のどちらかで反応を返す
まとめ15分3つの箱に5つの形を置き直し、硬さ(書き言葉向き・会話向き)と、良い気持ち・悪い気持ちのどちらに使えるかを一覧にして残す

学習項目 1 〜だけあって/だけに/だけのことはある

意味・はたらき学習項目 1

3つとも「だけ」の前に理由になる事実(評判・立場・経験・値段・努力など)を置き、そこから当然そうなる、という気持ちを表します。ここでの「だけ」は「〜だけ(限定)」ではなく、「それにふさわしい程度」という意味です。「〜だけあって」は、前の事実から期待されるとおりの結果で、感心・納得したことを言います(さすがプロだけあって上手だ)。良い評価に使うことが多い形です。「〜だけに」は、「〜だから、なおさら・それだけ一層」という気持ちで、良い結果にも悪い結果にも使えるのが特徴です(楽しみにしていただけに、中止は残念だ)。期待が大きかった分だけ落胆も大きい、という使い方は「だけに」が受け持ちます。「〜だけのことはある」は文末に置き、目の前の結果を見て「〜というのも当然だ、それにふさわしい」と評価します。「さすが〜だけのことはある」の形でよく使われます。3つとも、後ろ(文末)には話し手の感想や評価が来て、依頼や命令は来ないのがふつうです。

接続

V・い形の普通形/な形な/N(書き言葉では「Nであるだけに」も)+だけあって・だけに・だけのことはある(「有名なだけあって」「プロだけあって」「高かっただけのことはある」)

形
Nだけあって、〜(感心)(さすが地元の人だけあって、道に詳しい)〜ていただけに、〜(なおさら)(期待していただけに、がっかりした)さすが〜だけのことはある(さすが10年続けているだけのことはある)〜ただけのことはある(値段が高かっただけのことはある)

導入

  • 同じ出来事を3つの形で言い比べる「行列ができる有名なラーメン屋に行った。とてもおいしかった」という状況を絵で見せ、「有名な店だけあって、おいしかった」「さすが有名な店だけのことはある」を板書する。次に「1か月前から楽しみにしていた花火大会が、雨で中止になった」を見せ、「楽しみにしていただけに、残念だった」と書く。「だけあって」の文に「残念」を入れると変だ、と確かめ、「だけに」だけが悪い気持ちにも使えることを赤で示す。
  • 「理由 → 当然 → 気持ち」の矢印黒板に「理由(評判・経験・努力)→ 当然そうなる → 感心/一層の気持ち」の矢印を書き、学生に身近な理由(日本に5年住んでいる・毎日練習している・値段が高い)を出させて、矢印に当てはめて文を作らせる。「だけ」が「〜だけ食べた」の限定とは別の意味だと、ここで一言添える。

板書案

理由(評判・経験・努力)→ 当然 → 気持ち
〔青〕Nだけあって、〜(感心) さすがプロだけあって、上手だ。
〔赤〕〜だけに、〜(なおさら) 楽しみにしていただけに、残念だった。
〔青〕さすが〜だけのことはある(文末で評価) 高かっただけのことはある。
後ろ = 感想・評価 〔赤〕×依頼・命令
な形な/N + だけあって (有名なだけあって・プロだけあって)

場面と発話(自作)

  • 日本に長く住んでいる留学生の先輩が、役所の書類をすらすら書いているのを見て、後輩が言う。さすが日本に8年住んでいるだけあって、難しい書類も早いですね。
  • 半年かけて準備したサークルの発表会が、当日の大雪で中止になった。部長が日記に書く。みんなで時間をかけて準備してきただけに、中止の知らせはつらかった。
  • 少し高いと思いながら買ったコートが、寒い朝でもとても暖かかった。同僚に話す。迷ったんですけど、高かっただけのことはありました。本当に暖かいです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「理由」のカード(評判のパン屋・元プロ選手のコーチ・3年間毎日練習した・ずっと待っていた新製品)と「結果」のカード(とてもおいしい・教え方が上手・優勝した・すぐ売り切れて買えなかった)を組み合わせ、3つの形のどれが合うかを選んで文を作らせる。結果が悪いカードを混ぜて、「だけに」を選べるかを確かめる。最後に「さすが〜だけのことはある」で、クラスメートの得意なことをほめ合う。

  1. 口頭教師が理由と結果を組でキューに出し(「プロの料理人・おいしい」「10年住んでいる・道に詳しい」「高かった・暖かい」「楽しみにしていた・中止」)、全員で「プロの料理人だけあって、おいしいです」のように言わせる。次に同じ理由で結果を良い・悪いに替えて出し、悪い結果のときは「だけに」に切り替えられるかを個人指名で確かめる。最後に結果だけを見せ(「この時計、30年たってもまだ動いている」)、「さすが〜だけのことはある」で文末評価させる。
  2. ペアAは「理由カード」、Bは「結果カード」を持ち、互いに見せない。Aが理由を読み上げ、Bが自分の結果カードを読み、2人で合う組み合わせかを判断して、合えば3つの形のどれで言うかを決めて1文にする。合わない組(評判の店・おいしくなかった)が出たら、「だけに、がっかりした」で言えないかを考えさせる。5組で役を交替する。
  3. 産出活動名「さすが!ほめ言葉リレー」。クラスメートの得意なことや経験(料理が上手・国で教師をしていた・毎朝走っている)を前もってメモしておき、一人ずつ「〇〇さんは国で先生をしていただけあって、説明が分かりやすいです」とほめ、ほめられた人は「いえいえ」と返して次の人をほめる。教師が見るのは、理由と結果が「当然」でつながっているか、な形・名詞の接続(上手なだけあって・プロだけあって)、後ろが感想になっているか。期待外れの話をしたい学生には「だけに」で言わせる。

つまずきと手当て

  • 限定の「だけ」と混ざって、「有名な店だけあって」を「有名な店しかない」の意味に取る。ここでの「だけ」は「それにふさわしい程度」だと、矢印の板書に戻って確かめる
  • 期待が外れてがっかりした場面で「だけあって」を使う(「楽しみにしていただけあって、中止は残念だった」)。期待どおりで感心するのが「だけあって」、期待していた分だけ気持ちが大きく動くのが「だけに」、と同じ出来事の言い比べで選ばせる
  • な形の接続を誤る(「*有名だけあって」)。な形は「有名なだけあって」、名詞は「プロだけあって」とそのまま付ける。会話では「プロなだけあって」もよく聞くが、教えるときは「Nだけあって」に固定しておく
  • 後ろに依頼や命令を置く(「大事な試験だけあって、しっかり勉強してください」)。3つとも後ろは話し手の感想・評価が中心。勧めたいなら「大事な試験だから、しっかり勉強してください」と初級の「から」で言う

既習の文型との違い

  • 〜ので、…(初級Ⅱ第21課)「ので」「から」は理由をそのまま述べる形で、後ろに依頼や勧めも置けます(大事な試験なので、よく勉強してください)。「だけあって」「だけに」は理由に「それにふさわしい」という評価を重ねる形で、後ろは話し手の感想が中心です。理由を言うだけの場面で「だけあって」を使うと大げさに聞こえるので、評価したい理由かどうかで選ばせます。
  • 〜ものだから(初中級第4課)「ものだから」は自分の事情を説明したり言い訳したりするときの理由で(道が混んでいたものだから、遅れました)、評価の気持ちはありません。「だけに」は理由が大きい分だけ気持ちも大きく動いたことを言う形です。遅れた理由を「道が混んでいただけに、遅れました」と言う学生には、言い訳なのか、気持ちの大きさなのかを聞いて選び直させます。
  • 〜はずです/〜ないはずです(初級Ⅱ第33課)結果を見て理由に納得する「暖かいはずだ。高かったんだから」と、理由から結果を評価する「高かっただけのことはある」は、同じ場面で使えますが向きが逆です。「はずだ」は話し手が今わかった理由を確かめる言い方、「だけのことはある」は理由にふさわしい結果だとほめる言い方です。ほめたいときは「だけのことはある」、と言う目的で分けます。
関連する文型

学習項目 2 〜ことに

意味・はたらき学習項目 2

「うれしいことに」「残念なことに」のように、これから言う出来事について自分がどう感じたかを、先に述べる形です。聞き手や読み手は気持ちの向きを先に知ってから出来事を聞くので、話の印象がはっきりします。前に来るのは、うれしい・ありがたい・残念な・不思議な・困った・驚いた・あきれた のような感情や評価を表す言葉で、動詞は「驚いたことに」「困ったことに」のようにた形にします。やや書き言葉寄りで、作文・手紙・ニュース・スピーチなどでよく使われます。後ろには実際に起こった出来事や事実が来て、「〜てください」「〜ましょう」のような依頼・勧誘は来ません。

接続

い形+ことに(うれしいことに)/な形な+ことに(残念なことに)/Vた+ことに(驚いたことに・困ったことに)

形
い形 ことに(うれしいことに・ありがたいことに・悲しいことに)な形な ことに(残念なことに・不思議なことに・幸いなことに)Vた ことに(驚いたことに・困ったことに・あきれたことに)

導入

  • 気持ちを先に言うと、どう変わるか「財布を落とした。交番に届いていた」という2文を板書し、学生に「この人はどんな気持ちでしたか」と聞く。次に「財布を落とした。ありがたいことに、交番に届いていた」と書き足し、気持ちが先に分かると聞く側が安心して続きを聞ける、と確かめる。続けて「困ったことに、中のカードはなくなっていた」と書くと、話の向きが変わることも見せる。
  • 前に来る言葉を箱で固定する黒板に「い形 ことに」「な形な ことに」「Vた ことに」の3つの箱を作り、感情のカード(うれしい・残念・驚く・困る・不思議・ありがたい)を学生に箱に入れさせる。「驚く」「困る」は「た」に変えて入れる、ということをここで固める。

板書案

気持ち + ことに、出来事。
〔赤〕い形 うれしいことに / な形な 残念なことに / Vた 驚いたことに
財布を落とした。ありがたいことに、交番に届いていた。
〔赤〕、(読点)で切れる  後ろ = 起きた事実 ×依頼・勧め
作文・手紙・スピーチ・ニュース向き

場面と発話(自作)

  • 地域の日本語教室の会報に、留学生がこの1年の思い出を書く。うれしいことに、最初の授業で隣の席だった人とは、今では一番の友達です。
  • スピーチ大会で、自分の町のお祭りについて話す学生が、話の山場に入る。驚いたことに、その祭りでは子どもたちが大人の代わりに神輿を担ぐのです。
  • アルバイト先の店長が、朝の打ち合わせで店員に知らせる。残念なことに、来月から駅前の店は閉めることになりました。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

出来事のカード(試験の日が台風で延期になった・引っ越し先の大家さんが母国の言葉を話せた・電車に傘を忘れた)を見せ、学生に合う気持ちの言葉を選ばせて「〜ことに、〜」の一文を作らせる。同じ出来事に「うれしいことに」と「困ったことに」の両方を付けて、続きの文を変えさせる練習もする。

  1. 口頭教師が感情の語をキューに出す(「うれしい」「残念」「驚く」「困る」「不思議」)→ 全員で「うれしいことに」「残念なことに」「驚いたことに」と形だけを言う。次に出来事の絵(電車が止まった・宝くじが当たった・雨がやんだ)を見せ、「困ったことに、電車が止まりました」のように1文で言わせる。同じ絵で教師が気持ちの語を替えるたびに、後ろの文も少し変えさせる。
  2. ペアAは出来事を2文で話す(「先週、引っ越しました。隣の人が同じ国の人でした」)。Bは聞いたあと、「うれしいことに」「驚いたことに」などを足して、Aの話を1文に言い直して返す。Aは「そうなんです」か「いいえ、困ったことに…」で、気持ちが合っているかを返す。3回で交替する。
  3. 産出活動名「ニュースキャスター」。学生が身近な出来事(クラス・寮・町のこと)を一つ選び、「〜ことに」で始まる30秒のニュースを書いて読み上げる。聞き手は気持ちの言葉だけをメモし、話の向きと合っていたかを言う。教師が見るのは、動詞がた形になっているか(驚いたことに)、な形の「な」、後ろに依頼や勧めが来ていないか、読点で切って読んでいるか。

つまずきと手当て

  • 動詞を辞書形のまま付ける(「驚くことに」)。会話や記事で見かけることもあるが、教えるときは「驚いたことに」「困ったことに」と、た形の形で固定しておく
  • 後ろに依頼や勧めを置く(「*残念なことに、もう一度申し込んでください」)。後ろは起きた出来事を述べる文。勧めたいなら「残念ですが、もう一度申し込んでください」にする
  • 「〜ことにする/ことになる」と混ざって、「残念なことに」を「残念なことに決めた」のように続ける。この「ことに」は文の頭で気持ちを示すもので、後ろとは読点で切れる、と板書で読点を赤く書く

既習の文型との違い

  • 〜ことにします/〜ということ(初級Ⅱ第34課)「ことにします」は「来月から毎朝走ることにします」のように、動詞の辞書形・ない形に付いて決定を表します。この課の「ことに」は感情の言葉に付き、読点で切れて後ろに出来事が続きます。「残念なことに」のあとに「しました」を続けてしまう学生には、前に来るのが感情の言葉か動作の言葉かを確かめさせます。
  • 〜て、…ました(初級Ⅰ第19課)「財布が見つかって、うれしかった」は出来事が先、気持ちが後ろで、気持ちの原因を説明する言い方です。「うれしいことに、財布が見つかった」は気持ちが先で、聞き手に話の向きを予告する言い方です。内容は同じでも、作文の書き出しや話の山場では「ことに」、ふだんの会話では「て」が自然、と場面で分けます。
関連する文型

学習項目 3 〜こそ

意味・はたらき学習項目 3

ほかのものではなく、まさにそれだと、一つのものを取り立てて強く言う形です(取り立て=文の中の一つの語を特別に目立たせること)。「は」「が」「を」の代わりに使って「これこそ、ずっと探していた本だ」のように言い、感激や確信が強いときに出ます。決まった言い方として、あいさつの「こちらこそ」、前に失敗したことを次は必ず、という「今度こそ」「今年こそ」があります。理由を強く押し出す「〜からこそ」は、「ほかの理由ではなく、まさにそれが理由だ」という言い方で、感謝や主張を伝える文によく使われます(あなたが支えてくれたからこそ、最後まで続けられた)。

接続

N+こそ(が・を・は の代わりに。に・で などは残して「ここでこそ」「あなたにこそ」)/普通形+からこそ

形
Nこそ(これこそ・今度こそ・こちらこそ)N+助詞+こそ(ここでこそ・この人にこそ)普通形+からこそ(努力したからこそ・好きだからこそ)

導入

  • 「は」と「こそ」を並べる町の小さな店の写真を見せながら「この店のカレーはおいしい」と「この店のカレーこそ、わたしが探していた味だ」を板書し、2つ目の文で話し手が何を言いたいのかを聞く。「ほかの店ではなく、この店」という気持ちを確かめ、「こそ」が「は」の位置に入っていることを線で示す。続けて「こちらこそ」「今度こそ」を、ふだん使っている言い方として思い出させる。
  • 「から」と「からこそ」「家族が応援してくれたから、合格できた」と「家族が応援してくれたからこそ、合格できた」を並べ、どちらの人がより家族に感謝しているかを聞く。「からこそ」は、ほかの理由ではなくそれが理由だと強く言う形で、お礼のスピーチや作文の結びによく出ることを伝える。

板書案

Nは → Nこそ(ほかでもない、それ)
この店のカレー〔赤〕こそ、わたしが探していた味だ。
〔青〕が・を → こそ  〔青〕に・で + こそ(ここでこそ)
普通形 + からこそ 家族が応援してくれたからこそ、合格できた。
決まった言い方:こちらこそ・今度こそ・今年こそ

場面と発話(自作)

  • 卒業式のあと、学生が担任の先生にお礼を言う。先生があきらめずに教えてくださったからこそ、ここまで来られました。
  • 去年の試験に落ちた会社員が、新しい手帳の最初のページに書く。今年こそ、N1に合格する。
  • 古い商店街を歩いていた留学生が、昔ながらの和菓子屋を見つけて友達に言う。こういう店こそ、国の家族に見せたいんだよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「は」の文(このかばんは使いやすい・この季節は旅行にいい・ここは静かだ)を「こそ」に言い替え、後ろに「ずっと探していた」「いちばん」などを足して気持ちの強さを出させる。そのあと、「〜からこそ、〜」で、ここまで続けられた理由をペアで言い合い、聞き手は「それはよかったですね」と返す。

  1. 口頭教師が「は」の文をキューに出す(「この店は安い」「今度は勝つ」「この本は読みたかった」「ここは静かだ」)→ 全員で「この店こそ、いちばん安い」のように「こそ」に替えて言わせ、後ろに「いちばん」「ずっと〜たかった」を足して強さを出させる。次に「みなさんが助けてくれた」「毎日練習した」などの理由をキューにして「〜からこそ、〜」で言わせる。最後に「すみませんでした」「ありがとう」に「こちらこそ」で返すやり取りを全員で練習する。
  2. ペアAが「〜てくれて、ありがとう」とお礼を言い、Bが「いえ、こちらこそ〜てくれて、ありがとう」と返す、を2往復。次にAが去年うまくいかなかったことを一つ言い(「去年は試験に落ちました」)、Bが「今年こそ、合格できますよ」と励まし、Aが「はい、今年こそ〜ます」と決意を言う。役を交替する。
  3. 産出活動名「ありがとうスピーチ1分」。学生が日本でお世話になった人を一人決め、「〜からこそ、〜」を一回だけ入れて、その人へのお礼のスピーチを書いて発表する。教師が見るのは、「こそ」が一番言いたいところに一回だけか、「がこそ」「をこそ」になっていないか、「からこそ」の理由が話し手の強く言いたい理由になっているか。

つまずきと手当て

  • 「が」を残したまま「こそ」を付ける(「*わたしがこそ」「*これがこそ」)。「が」「を」はふつう「こそ」に入れ替わる、と板書の線に戻る(「をこそ」は古い書き言葉に残る程度)。「に」「で」は残してよい(ここでこそ)
  • 単なる原因に「からこそ」を使う(「雨が降ったからこそ、電車が遅れた」)。誤りとまでは言えないが不自然に聞こえることが多い。「からこそ」は話し手が強く主張したい理由に使う、と感謝・決意の文と並べて見せる
  • 何にでも「こそ」を付けて、話全体が大げさになる。一つの話の中で「こそ」は一番言いたいところに一回、と活動の前に約束しておく

既習の文型との違い

  • 〜さえ…ば…(初中級第13課)「さえ」と「こそ」はどちらも一つの語を取り立てますが、「さえ」は「それだけあれば十分」という最低限の条件を、「こそ」は「ほかでもないそれだ」と強く押し出す気持ちを表します。「時間さえあれば行ける」を「こそ」に替えることはできません。最低限の条件なら「さえ」、一番大事なものを言うなら「こそ」と、言いたいことで分けます。
  • 〜ので、…(初級Ⅱ第21課)理由を強めるときは「からこそ」で、「ので」には「こそ」が付きません(*応援してくれたのでこそ)。また「ので」は理由をていねいに述べる形ですが、「からこそ」は話し手の主張が強く出ます。お礼や決意の結びでは「からこそ」、事情の説明では「ので」と、文の目的で選ばせます。
関連する文型

学習項目 4 〜ことか

意味・はたらき学習項目 4

「なんと〜ことか」「どんなに〜ことか」「何度〜ことか」の形で、言い尽くせないほど気持ちが強いことを、感嘆(詠嘆=心から感じ入って言うこと)として表します。形は疑問文のようですが、相手に質問しているのではなく、答えを求めない言い方で、文末は下げて言います。必ず「なんと」「どんなに」「どれほど」「何度」「何回」のような程度や回数を表す言葉といっしょに使い、これらが無いと文として不自然になります。やや書き言葉寄りで、作文・手紙・スピーチや、強い気持ちを込めて振り返る話で使われます。良い気持ち(うれしい・美しい)にも、つらい・あきれた気持ちにも使えます。

接続

なんと/どんなに/どれほど/何度+V・い形の普通形(た形も)/な形な(・である)+ことか(「どんなにうれしかったことか」「なんと静かなことか」)

形
なんと+い形/な形な+ことか(なんと美しいことか・なんと静かなことか)どんなに/どれほど+〜た ことか(どんなに心配したことか)何度/何回+Vた ことか(何度あきらめようと思ったことか)

導入

  • 「とても」を感嘆に言い替える「3年ぶりに家族に会えて、とてもうれしかった」と「3年ぶりに家族に会えて、どんなにうれしかったことか」を板書し、2つ目を教師が気持ちを込めて、文末を下げて読む。「先生に質問していますか」と聞き、質問ではなく、言葉にできないほどの気持ちを言っていることを確かめる。「どんなに」を消して「うれしかったことか」だけにすると変だ、と見せて、組み合わせの言葉を赤で囲む。
  • 回数で気持ちを伝える教師が「この資格を取るまでに、何度試験を受けたことか」のように、苦労した体験を回数で話して見せる。数字そのものよりも、数えきれないほどだったという気持ちが伝わる形だと確かめ、学生にも「何度〜たことか」で自分の苦労を一つ言わせる。

板書案

〔赤〕なんと/どんなに/どれほど/何度 + 〜ことか ↘
どんなにうれしかったことか。(質問ではない)
何度あきらめようと思ったことか。
〔青〕い形 うれしかった / な形 静かな + ことか
文末は〔赤〕↘ 下げる (↗ だと質問に聞こえる)

場面と発話(自作)

  • 大学の卒業式で、留学生の代表がスピーチの最後に話す。日本に来たばかりのころ、どれほど国に帰りたいと思ったことか。それでも続けてこられたのは、皆さんのおかげです。
  • 初めて富士山に登った学生が、頂上で日の出を見ながら日記に書く。雲の上から昇る太陽は、なんと美しいことか。
  • 連絡しないで夜遅く帰ってきた息子に、母親が言う。電話もつながらないし、どんなに心配したことか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「とても〜」の文のカード(とてもうれしかった・とても心配した・何回も練習した・とてもきれいだ)を見せ、「なんと/どんなに/何度〜ことか」に言い替えさせる。言い替えたら、気持ちを込めて文末を下げて読む練習をし、上げて読むと質問に聞こえることを聞き比べで確かめる。

  1. 口頭教師が「とても」「何回も」の文をキューに出す(「とても心配した」「とてもきれいだ」「何回も練習した」「とても寂しかった」)→ 全員で「どんなに心配したことか」「なんときれいなことか」「何度練習したことか」に言い替える。言い替えたら、教師が文末を上げる読み方と下げる読み方を聞かせ、どちらが感嘆かを手の上下で示させてから、個人で下げて読ませる。
  2. ペアAは日本に来てから大変だったことを「〜ました」の文で言う(「最初は駅で何回も迷いました」)。Bは「何回も迷ったんですね」と受け、Aが自分でもう一度「何度迷ったことか」と気持ちを込めて言い直す。言い直すのを話し手のAにすることで、形を作る練習がA自身に残るようにする。3つ話したら交替する。
  3. 産出活動名「あのころの自分へ」。日本に来たばかりのころの自分に宛てて、短い手紙(5〜6文)を書く。「どんなに〜たことか」「何度〜たことか」を少なくとも一つずつ入れ、最後は今の気持ちで結ぶ。教師が見るのは、程度・回数の言葉と組になっているか、い形・な形の形、一通の中で使いすぎて大げさになっていないか。読み上げのときは文末の下げも見る。

つまずきと手当て

  • 「なんと」「どんなに」などを付けずに言う(「うれしかったことか」だけで終わる)。程度や回数の言葉と組で使う形だ、と赤で囲んだ板書に戻る
  • 形容詞の形を誤る(「*どんなにうれしいだったことか」「*なんと静かだことか」)。い形は「うれしかった」、な形は「静かな」にして「ことか」を付ける
  • 文末を上げて読んで、相手に質問したように聞こえる。感嘆の「ことか」は下げて読む。また「二度と行くものか」の「ものか」(絶対に〜ない、という強い否定)と形が似ているので、意味の違いを一行だけ並べて見せる

既習の文型との違い

  • 〜か/〜かどうか…(初級Ⅱ第32課)「どんなに心配したか、分かりますか」は「〜か」で文の中に疑問を入れる言い方で、相手に答えを求めています。「どんなに心配したことか」は答えを求めない感嘆です。「こと」の有無と文末の上げ下げで分かれるので、2つを並べて読み比べさせます。
  • 〜ことがあります(初級Ⅰ第16課)「何度も富士山に登ったことがあります」は経験と回数を伝える言い方です。「何度登ったことか」は回数が数えきれないほどだという気持ちを言う形で、ふつうは「何度も」ではなく「何度」を使います。「何度も登ったことか」と混ぜる学生には、実際の文章でも見かける言い方ではあるものの、「も」を取った「何度登ったことか」のほうが自然で気持ちがよく出る、と板書で示します。
関連する文型

学習項目 5 〜くらい/ほど

意味・はたらき学習項目 5

初中級で学んだ「〜くらい」「〜ほど」は、どのくらいかを具体的なたとえで説明する形でした。この課では同じ形を、心が動いた大きさを相手に伝えるために使います。「涙が出るくらいうれしかった」「信じられないほど美しかった」のように、実際には起きていない、または起きそうな極端な例を前に置くことで、「とても」では伝わらない気持ちの強さを表します。「死ぬほど」「泣きたいくらい」のように本当にそうなるわけではない誇張も多く、聞き手もそれを分かって聞いています。文末で「〜くらいだ/ほどだ」と言うと、気持ちの大きさをたとえで締めくくることができます。「ほど」のほうが程度が強めに聞こえて少し硬く、作文やスピーチ向き、「くらい(ぐらい)」は会話でよく使われます。

接続

V辞書形/Vない/Vたい・い形・な形な・N+くらい(ぐらい)/ほど。文末は「〜くらいだ/ほどだ」

形
Vたい くらい+気持ち(泣きたいくらいうれしい・叫びたいくらい悔しい)Vない ほど+気持ち(言葉にならないほど感動した・信じられないほど美しい)気持ち+て、〜くらいだ/ほどだ(うれしくて、眠れないくらいだった)

導入

  • 初中級の「くらい」と比べる「この荷物は、子どもでも持てるくらい軽い」(どのくらい軽いかの説明)と「合格の知らせを聞いて、跳び上がりたいくらいうれしかった」(気持ちの大きさ)を並べて板書する。どちらが「説明」で、どちらが「気持ち」かを学生に選ばせ、この課は後ろの使い方を練習すると予告する。
  • 気持ちの温度計黒板に温度計の絵を描き、下から「うれしかった → とてもうれしかった → 泣きたいくらいうれしかった → 言葉にならないほどうれしかった」と目盛りを付ける。学生に自分の体験を一つ選ばせ、どの目盛りの言い方が合うかを考えさせる。「ほど」が上の目盛りに来やすいことも、ここで見せる。

板書案

たとえ + くらい/ほど + 気持ち
泣きたいくらいうれしかった。
言葉にならないほど感動した。
〔青〕説明(初中級):子どもでも持てるくらい軽い 〔赤〕気持ち(この課)
温度計:うれしい → とても → 泣きたいくらい → 言葉にならないほど
〔青〕会話:くらい(ぐらい) 〔赤〕作文・改まった場面:ほど

場面と発話(自作)

  • 初めて見たオーロラについて、旅行から帰った会社員が同僚に話す。写真では伝わらないくらいきれいで、しばらく声が出ませんでした。
  • 長い時間かけて書いた論文が賞を取ったと知らせを受けた大学院生が、指導の先生に報告する。知らせを聞いたときは、信じられないほどうれしかったです。
  • アルバイトで初めて一人で店を任された学生が、仕事のあとに友達にメッセージを送る。今日は忙しすぎて、帰りの電車で立ったまま寝そうになるくらいだったよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

気持ちのカード(うれしい・悔しい・恥ずかしい・感動した・疲れた)と、よく使うたとえのカード(泣きたい・叫びたい・穴があったら入りたい・言葉にならない・信じられない)を組み合わせ、合うものを選んで「〜くらい/ほど〜」の文を作らせる。そのあと温度計の板書を使って、「とても」で言った文と比べ、どちらが気持ちが伝わるかペアで評価し合う。

  1. 口頭教師が気持ちとたとえを組でキューに出す(「うれしい・跳び上がりたい」「悔しい・叫びたい」「疲れた・立ったまま寝そう」「きれい・信じられない」)→ 全員で「跳び上がりたいくらいうれしかった」と言わせる。次に同じ組で「ほど」に替えさせ、硬さの違いを確かめる。最後に気持ちだけを出し、たとえを学生に考えさせて個人で言わせる。
  2. ペアAは気持ちのカード、Bはたとえのカードを数枚ずつ持つ。Aが「最近、〜ことがあって、とてもうれしかったです」と話し、Bは手持ちのたとえから合うものを選んで「それは〜くらいうれしかったでしょう」と返す。Aは「いえ、〜ほどでした」と、自分でもっと合うたとえに言い直す。カードを交換して交替する。
  3. 産出活動名「気持ちの温度計スピーチ」。学生が最近心が動いた出来事を一つ選び、温度計のどの目盛りかを決めて、「〜くらい/ほど」を使って30秒で話す。聞き手はどの目盛りに聞こえたかを指で示す。教師が見るのは、たとえが前・気持ちが後ろの順になっているか、相手(友達・先生)に合ったたとえを選んでいるか、「死ぬほど」のようなくだけた言い方を改まった場面で使っていないか。

つまずきと手当て

  • たとえを文字どおりに取って、「死ぬほど疲れた」と聞いて相手が病気だと心配する。日本語でよく使う誇張のたとえで、本当にそうなるわけではない、と決まった言い方のリストで先に渡しておく
  • 目上の人に「死ぬほど」「めちゃくちゃ」のようなくだけたたとえを使う。誤りではないが、改まった場面では「言葉にならないほど」「信じられないほど」を選ぶ、と温度計の目盛りの横に硬さを書いておく
  • たとえと気持ちの順を逆にして、言いたいことがずれる(「うれしいくらい泣きたかった」では、泣きたい気持ちの大きさの話になる)。伝えたい気持ちが後ろ、たとえが前、と板書の形「たとえ+くらい+気持ち」に戻る
  • 「これくらい平気だよ」のような、程度を軽く見る「くらい」と混ざる。気持ちの大きさを伝える使い方は程度が高い側だけで、軽く見る使い方は「くらい」だけにあり「ほど」には置き換えられない、と初中級の整理を思い出させる

既習の文型との違い

  • 〜くらい…(初中級第8課)初中級の「くらい」は「子どもでも持てるくらい軽い」のように、どのくらいかを具体的に説明する形で、「これくらい大丈夫」のように程度を軽く見る使い方もありました。この課では同じ形を、心の動きの大きさを伝えるために使い、前には極端なたとえが来ます。軽く見る「くらい」と混ざると気持ちが逆に伝わるので、温度計の上の側だけを使う、と確かめます。
  • 〜ほど…(初中級第8課)「ほど」には「今年は去年ほど寒くない」のような比べる使い方もあり、そこでは後ろが否定になります。この課の「ほど」は「信じられないほど美しい」のように後ろが肯定で、程度の高さを言います。比べる形と気持ちの形を混ぜて文が分かりにくくなる学生には、後ろが否定か肯定かで役目が違うことを2つの文で見せます。
関連する文型

語彙の扱い

この課の言葉は、感激・驚き・がっかりを表す言葉(感激する・感動する・驚く・あきれる・残念・もったいない・ありがたい など)と、気持ちの大きさを言う決まったたとえ(泣きたい・言葉にならない・信じられない・跳び上がる など)に分けて板書しておくと、どの形に入れるかを考える材料になります。単語だけで覚えさせず、「驚いたことに」「言葉にならないほど」「さすが〜だけのことはある」のように、この課の形と組にしたかたまりでカードを作って練習します。

この課の練習で使う語(11語・意味・連語・例文)

  • 感激します(かんげきします) 思っていた以上のことに出会って、心が強く動きます。 〜に感激する・心から〜
    留学生が、ホームステイ先で誕生日を祝ってもらった。
    「ケーキまで用意してくださって、泣きたいくらい感激しました。」
  • 感心します(かんしんします) 人のしたことや物の出来がりっぱで、えらいと思います。 〜に感心する・すっかり〜
    後輩の発表がとても分かりやすかった。
    「よく調べてあって、感心しました。さすが毎日図書館に通っているだけのことはありますね。」
  • がっかりします(がっかりします) 期待していたことがだめになって、元気がなくなります。 結果に〜・すっかり〜
    楽しみにしていたコンサートが中止になった。
    「半年前から待っていただけに、本当にがっかりしました。」
  • あきれます(あきれます) 相手のすることがあまりにひどくて、言葉が出ないような気持ちになります。 〜にあきれる・あきれた顔
    同じ人が三回続けて約束の時間に遅れて来た。
    「あきれたことに、今日もまだ来ていないんです。」
  • もったいない(もったいない) まだ使える物や大切な時間・力が、むだになって惜しいと思う気持ちです。 〜と思う・捨てるのは〜
    まだ食べられる料理がたくさん残っていた。
    「まだ食べられるのに捨てるなんて、もったいない。」
  • ありがたい(ありがたい) 人の親切や運のよさに対して、感謝したい気持ちです。 〜ことに・本当に〜
    引っ越しの日、近所の人が荷物を運ぶのを手伝ってくれた。
    「ありがたいことに、近所の方が手伝ってくださいました。」
  • 期待します(きたいします) いいことが起こるだろうと、楽しみに待ちます。 〜に期待する・大いに〜
    新しく始まったドラマの話をしている。
    「期待していただけに、一回目がつまらなくて残念でした。」
  • 評判(ひょうばん) 多くの人が、ある物や人についてどう言っているかということです。 〜がいい・〜の店
    雑誌に何度も出ているパン屋で買って食べた。
    「評判の店だけあって、朝早くから人が並んでいました。」
  • さすが(さすが) 思っていたとおりにりっぱで、やはりすごいと感心する気持ちを表します。 〜に・〜〇〇さん
    料理が得意な友達が作ったカレーを食べた。
    「さすが、毎日作っているだけのことはあるね。」
  • 信じられない(しんじられない) 本当のこととは思えないほど、程度が大きいことを表します。 〜ほど・〜くらい
    山の上で夜空を見上げた。
    「信じられないほどたくさんの星が見えました。」
  • 言葉にならない(ことばにならない) 気持ちが大きすぎて、うまく言葉で言えないことを表します。 〜ほど・〜くらい
    卒業式で、先生へのお礼を言おうとした。
    「言葉にならないほど、感謝しています。」

宿題と次のコマ

宿題は、日本に来てから(または最近)感激したこと・驚いたことを一つ選び、「〜だけあって/だけに/だけのことはある」から一つ、「〜ことに」か「〜こそ」から一つ、「〜ことか」か「〜くらい/ほど」から一つ、合わせて3つ以上を使って200〜300字の短い文章に書くこと。次のコマの最初に何人かに読ませ、聞いた学生に「どこでいちばん気持ちが伝わったか」を言わせてから、「だけあって」と「だけに」の選び方が出来事に合っているかを全員で確かめます。そのあと、決心や心がまえを伝える第22課に進みます。

よくある質問

  • 「〜だけあって」と「〜だけに」の違いはどう説明すればいいですか?

    「だけあって」は理由から期待されるとおりの結果で、感心・納得したときに使い、良い評価がほとんどです。「だけに」は「理由が大きい分だけ、なおさら」という気持ちで、良い結果にも悪い結果にも使えます。同じ出来事(楽しみにしていた花火大会が中止)を両方で言わせ、悪い結果には「だけに」しか合わないことを確かめると区別がつきます。

  • 「驚くことに」のように辞書形で言ってもいいですか?

    新聞や会話で見かけることもありますが、教室では「驚いたことに」「困ったことに」と、た形に固定して教えるのが安全です。前に来るのは感情や評価の言葉で、い形はそのまま、な形は「な」を付けます。形の箱を板書で3つに分けて残しておくと、作文のときに学生が戻って確かめられます。

  • 「〜ことか」が質問に聞こえないようにするには、どう練習しますか?

    「なんと」「どんなに」「何度」などの言葉と組で使うこと、文末を下げて読むことの2点を押さえます。教師が上げる読み方と下げる読み方を聞かせ、どちらが感嘆かを学生に手で示させてから、個人で下げて読ませます。「どんなに心配したか、分かりますか」と並べると、「こと」の有無の違いも見えます。

  • 第21課は何コマで終わりますか?

    目安は90分×2コマです。1コマ目で「だけあって/だけに/だけのことはある」「ことに」「こそ」まで、2コマ目で「ことか」「くらい/ほど」と、体験を語る目標の活動を行います。1コマ目の終わりに、心が動いた体験を一つ決めてくるよう伝えておくと、2コマ目の活動の材料になります。

  • 「〜くらい」と「〜ほど」はどう使い分けさせればいいですか?

    気持ちの大きさを伝える使い方では、どちらもほぼ同じ意味で使えます。「くらい(ぐらい)」は会話でよく使われ、「ほど」は程度が強めに聞こえて少し硬いので、作文やスピーチに向きます。程度を軽く見る「これくらい平気」は「くらい」だけの使い方で「ほど」には置き換えられない、と一言添えます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。