日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

中級を学ぼう 中級前期 第1課「音楽と音の効果」の教案

『中級を学ぼう 日本語の文型と表現56 中級前期 第2版』

音楽や音が気持ちに与える効果を扱う読み物の課で、最初の課らしく「〜だろう」「〜のだろうか」という書き言葉の文末と、「わけがない」「こそ」「名詞修飾節の が→の」のような、中級の読み物を読むために要る形がまとまっています。文型そのものの新しさより、話し言葉と書き言葉を分けて意識させる最初の課、と考えると教えやすくなります。

このページについて教科書の本文・例文・設問は載せていません。例文と場面はすべて自作です。項目番号は教科書の「学習項目」の番号に合わせています。
学習項目9時間90分×4コマ語彙119語

この課のねらい(Can-do)

  • 「〜だろう」「〜のだろうか」を、会話の「でしょう」と区別して、書き言葉として読める・作文で使える
  • 「わけがない」と「わけではない」を、全否定と部分否定として言い分けられる
  • 名詞修飾節の中の「が」を「の」に替えられることを知り、本文の長い名詞句を区切って読める

進め方と時間配分

目安は 90分×4コマ。コマの長さと学校のカリキュラムで配分は変わります。各段で押さえることと、かける時間の目安です。

段時間やること
扉(話しましょう)15分好きな音楽・落ち着く音・いらいらする音を出し合う。ここで出た語(リラックス・ストレス)を黒板に残し、学習項目1のカタカナ語につなぐ
本文の大意40〜45分CD か範読で通して読み、段落ごとに「何の話か」を一言で。「〜だろう」「〜のだろうか」の文末に印を付けさせておく(学習項目2・3の導入に使う)
ことばを確かめよう25〜30分語彙リストの読みと意味。意味は別冊の訳で確かめさせ、教室では連語(ストレスを解消する・効果をもたらす)の形で練習する
学習項目 1〜9140〜150分本文の文に戻りながら1項目ずつ。5(わけがない・わけではないの整理)と6(が→の)は板書で対比して見せる
内容を確かめよう・精読50〜60分正誤問題→段落の大意→細かい問い。精読で名詞修飾節の切れ目を確かめる
練習・チェックシート・作文・漢字60分練習は基本→応用→読もう・聞こう・書こう。チェックシートは課の終わりの小テストに。作文は「自分と音楽」のテーマで段落のある文章を

学習項目 1 カタカナ語(Nって何ですか/Nのことです)

意味・はたらき学習項目 1・☆

本文に出るカタカナ語(外来語)の読みと意味を確かめる項目です。あわせて、言葉の意味を尋ねる話し言葉「Nって何ですか」と、それに答える「Nのことです」を扱います。「って」は「は」の話し言葉の形で、相手が知らないかもしれない言葉を取り上げるときに使います。

接続

N+って何ですか/N+のことです(「って」=「は」の話し言葉)

形
Nって何ですかNのことですNって、〜のことです

導入

  • 扉で出たカタカナ語を学生同士で聞き合う扉のページで出た「リラックス」「ストレス」を黒板に残しておき、教師が学生に「ストレスって何ですか」と聞く。学生が説明できたら「〜のことですね」と受けて、形を板書する。次は学生同士でペアにして、本文のカタカナ語を1つずつ聞き合わせる。
  • 書き言葉との対比同じ質問を「ストレスとは何ですか」と書いて見せ、「って」は話すとき、「とは」は書くときと分ける。この課は話し言葉と書き言葉を分ける課なので、ここで一度言っておくとあとが楽になる。

板書案

Nって 何ですか。(話す) / Nとは 何ですか。(書く)
― Nの ことです。
シフトって 何ですか。― 働く 曜日と 時間の 割り当ての ことです。
〔赤〕って = は(話し言葉) 〔青〕とは(書き言葉)を左右に分けて書く
〔赤〕のこと の「の」に丸

場面と発話(自作)

  • アルバイト先で店長が「シフト」と言ったが、意味が分からなかった。同僚に小声で聞く。シフトって何ですか。
  • 後輩に「サークル」の意味を聞かれた。サークルって、大学のクラブのことだよ。
  • ニュースで「ストレス解消」と聞いた友だちが、意味を聞いてきた。ストレス解消って、いやなことを忘れて気持ちを楽にすることだよ。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

本文のカタカナ語を1人1語ずつ担当させ、「Nって何ですか」と聞かれたら自分の言葉で「〜のことです」と答える。辞書の訳を読み上げるのではなく、日本語で言い換えさせる。

  1. 口頭教師がカタカナ語のカード(シフト・サークル・レシート・アプリ・ポイントカード)を見せ、全体で「〜って何ですか」と言わせる。教師が「〜のことです」で答えるモデルを2回見せてから、答える側も個人に当てる。長音・促音はカードを指でたどりながら発音させる。
  2. ペア情報差で行う。Aは語と短い説明のカード、Bは語だけのカードを持つ。Bが「〜って何ですか」と聞き、Aは説明を読み上げずに自分の言葉で「〜のことです」と答える。Bは分かったら言い換えて確かめる(「つまり〜のことですね」)。3語ごとに役を交替する。
  3. 産出「ことばの小辞典」: 自分のアルバイト先・学校・国でよく使うが、クラスの人が知らなそうな言葉を1つ選び、クラスから「〜って何ですか」と聞かれて1〜2文で説明する。最後に同じ説明を「〜とは〜のことである」の形でカードに書く。教師は「のこと」の落ち、長音・促音、話し言葉と書き言葉の書き分けを見る。

つまずきと手当て

  • 「って」を作文に書く。書き言葉では「とは」に直させる
  • カタカナ語の長音・促音の表記(「リラックス」の「ッ」、「ストレス」の母音)。読みより書きで間違えるので、チェックシートの前に一度書かせる
  • 「Nのことです」の「の」を落として「N です」で答える。意味を言い換えているときは「〜のこと」と受けると分かりやすいと示す

既習の文型との違い

  • Nは何ですか(初級)「は」は目の前にある物や、相手も知っている物を尋ねるときにも使える。「って」は相手が知らないかもしれない言葉や、聞いたばかりの言葉を取り上げて意味を尋ねる場面に向く。言葉の意味を聞くときは「って」、物の正体を聞くときは「は」と、まず場面で分けて見せる。
  • Nとは〜のことだ(書き言葉)意味は同じで、違いは文体。作文・レポートの定義の文では「とは」を使い、「って」は書かない。学習者は作文に「ストレスって〜」と書きやすいので、書くときは「とは」と決めておく。
関連する文型

学習項目 2 〜だろう

意味・はたらき学習項目 2

「〜でしょう」の普通体です。話し手の推量や、断定を避けてやわらげた判断を表します。書き言葉(本文のような説明文・意見文)と、独り言・親しい相手への話し言葉で使い、丁寧に話す場面では「でしょう」になります。

接続

普通形+だろう(な形容詞・名詞は「だ」を取って「静かだろう」「学生だろう」)

形
Vる/Vた だろうい形 だろうな形/N だろう

導入

  • 本文の「〜だろう」を集める大意を取るときに印を付けさせた「〜だろう」の文を黒板に3つ並べ、「筆者はこれを100%知っていますか」と聞く。「たぶん」「きっと」という答えから、推量の意味を引き出す。次に同じ文を「〜でしょう」に言い換えさせ、「話すとき・丁寧に書くときは でしょう」と分ける。
  • 天気予報の文体「明日は雨が降るでしょう」(放送)と「明日は雨だろう」(新聞の見出し・独り言)を並べ、同じ意味で文体が違うことを見せる。

板書案

普通形 + だろう
〔な形・N〕静か/学生 + だろう(「だ」は重ねない)
明日は 雨が 降るでしょう。(話す・丁寧に書く)
明日は 雨が 降るだろう。(普通体の文章・独り言)
〔青〕でしょう ⇄ 〔赤〕だろう を矢印で結び、「意味は同じ、文体が違う」と横に

場面と発話(自作)

  • 作文で、音楽が人の気持ちに与える効果について自分の考えを書く。静かな音楽は、多くの人の気持ちを落ち着かせるだろう。
  • 友だちが約束の時間に来ない。独り言で。電車が遅れているんだろう。
  • レポートの結論で、断定を避けて自分の判断を書く。この結果は、音の高さより速さが関係していることを示しているだろう。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

作文の1文を「でしょう」で書かせてから「だろう」に直させる(逆より速い)。会話で使う練習は独り言の場面に限る。

  1. 口頭教師が状況を言い、学生が独り言として「〜だろう」で推量する。キューは「空が暗い」→「雨が降るだろう」、「道が混んでいる」→「バスが遅れるだろう」、「部屋の電気が消えている」→「もう寝ただろう」、「あの店はいつも行列だ」→「おいしいんだろう」。全体で言わせてから個人に当てる。
  2. ペアAが丁寧体の作文の1文(「この町はこれから人が増えるでしょう」)を読み、Bが普通体の文章として「だろう」に直して言う。3文ずつで役を交替する。最後に2人で、直した文の中に「です・ます」が残っていないか確かめる。
  3. 産出「10年後の予想作文」: 10年後の自分の町・仕事・暮らしについて、普通体で5〜6文書き、推量の文に「だろう」を3回使う。事実の文(今の町の様子)には付けない。教師は丁寧体との混在、事実の文への「だろう」、な形容詞・名詞の「だ」の重ねを見る。

つまずきと手当て

  • 丁寧体の文の中に「だろう」を混ぜる(「〜だろうと思います」は可、「〜だろうです」は不可)。文体をそろえる練習を1回入れる
  • 目上の人に「〜だろう?」と確認する(親しい相手への男性的な言い方)。教室では「〜でしょう?」に直す
  • 「だろう」を「でしょう」の単なる言い換えと思って、全部の文末に付ける。推量でない文(事実)には付けないことを例で示す

既習の文型との違い

  • 〜でしょう(初級)推量という意味は同じで、違いは文体。丁寧に話す・書くときは「でしょう」、普通体の文章や独り言では「だろう」になる。丁寧体の中に混ぜて*「〜だろうです」と言う誤りが出やすい。
  • 〜と思う(初級)「と思う」は話し手の考えだと示す形で、推量の度合いは決めない。「〜だろうと思う」と重ねると、断定をさらにやわらげる言い方になる。作文では「だろう」だけより押しつけがましさが減ることがある。
  • 〜かもしれない(初級)「かもしれない」は可能性がある程度で、そうでない場合も残す。「だろう」はそうなる見込みが高いと話し手が考えている。確信の度合いを数直線に並べて見せると区別しやすい。
関連する文型

学習項目 3 〜のだろうか

意味・はたらき学習項目 3

「〜のでしょうか」の普通体で、書き言葉で使います。筆者が読者に向けて、あるいは自分自身に向けて、疑問を投げかける形です。説明文では、このあとに筆者の答えや説明が続くことが多く、読むときは「問い→答え」の構造を見つける目印になります。

接続

普通形+のだろうか(な形容詞・名詞は「〜なのだろうか」)

形
Vる/Vた のだろうかい形 のだろうかな形/N なのだろうか

導入

  • 本文の問いかけの文を探す本文の中から「〜のだろうか」で終わる文を見つけさせ、「筆者はこの答えを知っていますか」と聞く。知っている(あとで説明している)ことを確かめ、「読者に考えさせるための問い」だと説明する。その答えがどの段落にあるかを探させると、精読の練習にもなる。
  • 作文の書き出しに使う作文のテーマを問いの形にして「なぜ音楽を聞くと落ち着くのだろうか」と板書し、「この文のあとに自分の考えを書く」と書き出しの型として教える。

板書案

普通形 + のだろうか
〔な形・N〕静か/学生 + な + のだろうか
なぜ 人は 音楽を 聞くと 落ち着くのだろうか。
→ それは 〜からだ。(答え)
〔赤〕問い →〔青〕答え を段落の間の矢印で結ぶ

場面と発話(自作)

  • 作文の書き出し。読者に問いを投げてから自分の考えを書く。なぜ人は、悲しいときに悲しい歌を聞きたくなるのだろうか。
  • レポートで、調べた結果の理由を考える段落の最初。この差はどこから来るのだろうか。
  • 日記に、自分への問いとして書く。あの人は、本当に私の話を聞いていたのだろうか。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

作文のテーマを「〜のだろうか」の問いに書き換えさせ、続けて「〜からだ/〜と思う」で答えの1文を書かせる。問いと答えのセットで練習する。

  1. 口頭教師が事実の文を言い、学生が「なぜ〜のだろうか」の問いに変える。キューは「夜になると眠くなる」→「なぜ夜になると眠くなるのだろうか」、「猫は高い所が好きだ」、「日本の電車は時間どおりに来る」、「雨の日は気分が重い」。な形容詞・名詞の文(「この町は静かだ」)も混ぜて「な」を入れさせる。
  2. ペアAが「〜のだろうか」の問いを書いたカードを読み、Bが「〜からだ」「〜ためだと考えられる」で答えの1文を言う。Aは答えを聞いて、別の理由をもう一つ足す。3問ごとに役を交替する。
  3. 産出「問いから始める段落」: 身の回りの疑問を1つ選び、「〜のだろうか」で書き出して、答え→理由→まとめの4〜5文の段落を書く。教師は問いのあとに答えがあるか、名詞・な形容詞の「な」、会話の形(〜んだろう)の混入を見る。

つまずきと手当て

  • 会話で使って硬くなる。話すときは「〜んでしょうか」「〜のかな」に
  • 問いを書いたまま答えを書かない。「のだろうか」のあとには自分の考えが要ることを型として示す
  • 名詞・な形容詞の「な」が落ちる(「大切のだろうか」)

既習の文型との違い

  • 〜だろう(第1課)「だろう」は話し手が推量した内容を述べる形で、「のだろうか」は答えを出さずに疑問を投げかける形。「のだろうか」で終わる文のあとには答えや説明が続くことが多い。両方を同じ「推量」と覚えると、問いの文を筆者の結論と読み違える。
  • 〜のでしょうか(初級)意味は同じで、「のでしょうか」は丁寧に人に尋ねるとき、「のだろうか」は普通体の文章や自問で使う。作文の中で読者に問いかける文は「のだろうか」にそろえる。
  • 〜かな(話し言葉)独り言の疑問は、話すときは「〜のかな」「〜んだろう」になる。作文に「〜かな」を書く誤りが出たら、「のだろうか」に直させる。
関連する文型

学習項目 4 〜わけがない

意味・はたらき学習項目 4

理由や状況を考えれば、そんなことはあり得ない、と強く打ち消す言い方です。「〜はずがない」とほぼ同じですが、「わけがない」のほうが話し手の気持ちが強く出ます。前に理由が示されていることが多い形です。

接続

普通形+わけがない(な形容詞は「〜なわけがない」、名詞は「〜のわけがない/〜であるわけがない」)

形
Vる/Vた わけがないい形 わけがないな形 なわけがないN のわけがない

導入

  • 理由を先に見せて否定させる「田中さんは毎日5時に起きて勉強しています。試験に落ちると思いますか」と聞き、「落ちない」と答えさせてから「落ちるわけがない」と板書する。理由(毎日勉強している)があるから強く否定できる、という順番を見せる。
  • 「はずがない」との並べ方同じ文を「落ちるはずがない」とも書き、どちらも使えることを示したうえで、「わけがない」は「ありえない!」という気持ちが強いと添える。この課では使い分けより、両方読めることを優先する。

板書案

普通形 + わけがない
〔な形〕静かな / 〔N〕学生の + わけがない
毎日 練習している。→ 下手な わけがない。
〔赤〕理由 → 強い否定 の矢印
≒ 〜はずがない(「わけがない」のほうが気持ちが強い)

場面と発話(自作)

  • 友だちが「あの店、まずいらしいよ」と言ったが、自分は何度も行っている。あの店がまずいわけがないよ。毎日行列なんだから。
  • 先輩が「1日で漢字を100字覚えた」と言うが、信じられない。1日で100字も覚えられるわけがない。
  • 子どもが「宿題は終わった」と言うが、ずっとゲームをしていた。ずっとゲームしてたのに、終わったわけがないでしょう。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

教師が「〜らしいよ」と信じにくい話を言い、学生が理由を付けて「〜わけがない」で返す。理由を必ず言わせる(理由がないと使いにくい形だと体で分かる)。

  1. 口頭教師が理由と疑いを言い、学生が「〜わけがない」で打ち消す。キューは「田中さんは毎日5時間練習している。下手かな」→「下手なわけがない」、「彼は日本に10年住んでいる。日本語が分からないかな」→「分からないわけがない」、「さっき食べたばかりだ。もうおなかがすいたかな」、「あの店はいつも行列だ。まずいかな」。な形容詞・名詞のキューで「な」「の」を確かめる。
  2. ペアAがうわさのカードを読んで「〜らしいよ」と言い、Bは理由を一つ付けて「〜わけがないよ。〜んだから」と打ち消す。Aが「でも〜って聞いたよ」ともう一度押し、Bは別の理由を足す。3枚ごとに交替する。
  3. 産出「うわさ打ち消しロールプレイ」: 寮やアルバイト先で自分についての誤ったうわさを聞いた場面を各自で作り、友だち役に理由を挙げて打ち消す。続けて同じ内容を先輩・店長に言う場面に変える。教師は理由があるか、名詞の「の」、目上への言い換え(「〜とは思えません」)ができるかを見る。

つまずきと手当て

  • 「わけではない」(部分否定)と取り違える。次の項目5で整理するので、ここでは「わけがない=ありえない」とだけ押さえる
  • 名詞に直接付ける(「学生わけがない」)。「のわけがない」の形を板書に残す
  • 丁寧に言うべき場面で使って強すぎる印象になる。目上には「〜とは思えません」などに

既習の文型との違い

  • 〜はずがないどちらも根拠があって強く打ち消す形で、多くの文で言い換えられる。「はずがない」は筋道から考えてありえないという判断、「わけがない」はそれに「ありえない」という気持ちが強く乗りやすい。この課では両方読めればよく、使い分けを細かく求めなくてよい。
  • 〜ないだろう(第1課)「ないだろう」は推量の打ち消しで、そうなる可能性をまだ少し残す。「わけがない」は可能性をほとんど認めない。学習者が「来ないだろう」と「来るわけがない」を同じ強さで使ったら、確信の度合いの違いを確かめる。
関連する文型

学習項目 5 「わけがない・わけではない」の整理

意味・はたらき学習項目 5

形が似ている2つを並べて整理する項目です。「わけがない」は「ありえない」と全部を否定し、「わけではない」は「全部がそうだとは限らない」「そういう意味で言ったのではない」と一部を否定したり、相手の受け取り方を直したりします。前の項目の「わけがない」が出たところで並べておくと、取り違えを早めに防げます。文法の見方で言うと、「わけではない」は文全体ではなく一部や相手の受け取り方を打ち消す部分否定の形として扱われることが多く、「全部ではない」と言い換えられるかどうかが目安になります。

接続

どちらも普通形に付く(な形容詞は「な」、名詞は「の」)

形
〜わけがない = 全否定(ありえない)〜わけではない = 部分否定(全部ではない/そういう意味ではない)

導入

  • 同じ文で2つを並べる「日本料理が嫌いなわけがない」と「日本料理が嫌いなわけではない」を上下に板書し、それぞれどんな状況で言うかを学生に考えさせる。上は「毎週食べに行く人」、下は「嫌いだと誤解されそうな人」。否定の強さが違うことを、状況の違いで理解させる。

板書案

嫌いな わけがない = ありえない(全部を否定)
嫌いな わけではない = 全部ではない/そういう意味ではない
毎週 食べに 行く人 → 嫌いな わけがない
ときどき 残す人 → 嫌いな わけではない
〔赤〕わけがない に二重線 〔青〕わけではない に波線

場面と発話(自作)

  • 「音楽が嫌いなの?」と聞かれた。嫌いではないが、うるさい場所が苦手なだけ。嫌いなわけではないよ。大きい音が苦手なだけ。
  • 「あの人、日本語が分からないんじゃない?」と言われた。相手は日本に10年住んでいる。分からないわけがないよ。10年も住んでいるんだから。
  • 「毎日残業なんでしょう」と心配された。毎日ではない。毎日というわけではないんです。月末だけです。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

状況を2つずつ用意し、どちらの形が合うかを選ばせてから言わせる。選ぶ理由(ありえない/全部ではない)を口で言わせる。

  1. 口頭教師が状況を言い、学生が2つの形から選んで言う。キューは「毎日ピアノを弾いている人。音楽が嫌い?」→「嫌いなわけがない」、「肉はあまり食べないが、嫌いではない」→「嫌いなわけではない」、「高い店にも行くが、いつもではない」→「いつも高い店に行くわけではない」、「10年住んでいる人。道が分からない?」→「分からないわけがない」。選んだ理由(ありえない/全部ではない)も一言で言わせる。
  2. ペアAが思い込みを言う(「〜なんでしょう」)。Bは手元の状況カード(「ありえない」か「一部だけ」かが書いてある)に合わせて、どちらかの形で答え、続けて一言説明を足す。Aは答えを聞いて、どちらの形だったかを言い当てる。交替して3往復。
  3. 産出「誤解を解く一言」: 自分の国や自分について日本でよく言われる思い込みを1つ選び、「〜わけではない」で一部を直す文と、「〜わけがない」でありえない誤解を打ち消す文を入れて、3〜4文で話す。教師は2つの形の取り違え、「というわけではない」の自然さ、理由の示し方を見る。

つまずきと手当て

  • 「わけではない」を全否定のつもりで使う。「全部ではない」と訳させると区別がつく
  • 「わけでもない」「というわけではない」の形が本文に出たときに別の文型だと思う。同じ仲間だと言っておく
  • 「〜ないわけがない」の二重否定を読み違える。「分からないわけがない」は「分からないはずがない=必ず分かる」という強い肯定になることを確かめる

既習の文型との違い

  • 〜わけがない(第1課)「わけがない」は話し手が理由を持って可能性を打ち消す形で、「わけではない」は相手の思い込みや言葉どおりの受け取り方を部分的に直す形。どちらも「わけ」が入るので、否定の向きを状況で確かめさせる。
  • 〜とは限らない「とは限らない」は「いつも・必ずそうだ」とは言えない、という一般論の否定に使いやすい。「わけではない」は目の前の誤解や自分の言葉の補足に使うことが多い。どちらも部分否定に近いので、本文で出たら言い換えられるか試させるとよい。
関連する文型

学習項目 6 名詞修飾節の「が」→「の」

意味・はたらき学習項目 6

名詞を修飾する節(「母が作った料理」の「母が作った」)の中の主語の「が」は、「の」に替えることができます。書き言葉で多く、本文の長い名詞句を読むときに「の」が主語を表していることに気づけると、文の切れ目が見えるようになります。替えられるのは名詞を説明する節の中だけで、文の述語に対する主語(「母が料理を作った。」の「が」)は「の」にできません。日本語学では「ガ・ノ可換」などと呼ばれ、節の中に「を」の目的語があるときは「の」にすると不自然になりやすい、という制限も知られています。

接続

〔N1 が V〕N2 → 〔N1 の V〕N2(修飾節の中の主語だけ。目的語の「を」は替えられない)

形
母が作った料理 → 母の作った料理音が大きい部屋 → 音の大きい部屋

導入

  • 学生の文を書き換える学生に「友だちが撮った写真」のような名詞句を言わせて板書し、「が」を「の」に替えて読ませる。意味が変わらないことを確かめてから、本文の中で「の」が主語になっている名詞句を探させる。
  • 替えられない「を」を見せる「友だちが本を読んだ日」を出し、「が」は「の」にできるが「を」は「の」にできないことを、実際に替えて変な文を聞かせて確かめる。

板書案

[母が 作った]料理 → [母の 作った]料理
[音が 大きい]部屋 → [音の 大きい]部屋
*[本の 読んだ]人(「を」は「の」にならない)
母が 料理を 作った。→ 母の 料理を 作った。(=別の意味になる。文の主語は「の」にしない)
〔赤〕修飾節を[ ]で囲む 〔赤〕が → の の矢印

場面と発話(自作)

  • レポートで、調査の説明を書く。学生の多い町では、夜遅くまで店が開いている。
  • 手紙で、送った物を説明する。母の作った梅干しを送ります。
  • 案内文で場所を説明する。天井の高い教室に変わりました。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

本文から名詞修飾節を3つ抜き出させ、「が」と「の」のどちらが使われているか、「の」なら「が」に戻して読ませる。書き換えより「読んで分かる」ことを優先する。

  1. 口頭教師が名詞句をキューに出し、学生が「が」を「の」に替えて言う。キューは「友だちが撮った写真」「雨が多い季節」「先生が書いた本」「駅が近いアパート」。続けて「の」の形を言い、学生が「が」に戻す。最後に「本を読んだ人」を出して、替えられないことを確かめる。
  2. ペアAが「の」入りの名詞句を読む(「父の育てた野菜」「父の野菜」)。Bはその「の」が修飾節の主語か、持ち主を表す「の」かを判断し、主語なら「が」に戻して言う。Aは判断が合っているか、後ろに動詞・形容詞があるかで確かめる。3つずつ交替する。
  3. 産出「わたしの町の紹介文」: 自分の町を紹介する4〜5文の文章を書き、名詞修飾節を3つ以上使い、そのうち2つは「の」で書く。書いたら隣の人と交換して[ ]で節を囲み合う。教師は「を」まで「の」にしていないか、「の」が続いて読みにくくなっていないかを見る。

つまずきと手当て

  • 目的語の「を」まで「の」にする(「本の読んだ人」)。主語だけだと板書に残す
  • 「の」が続いて読みにくい文を作る(「私の母の作った料理の味」)。書くときは「が」に戻してよいと言う
  • 「AのB」(所有)と読み違える(「母の作った料理」を「母の料理」と同じと思う)。動詞があるかどうかで見分けさせる

既習の文型との違い

  • AのB(所有・所属・初級)「母の料理」は持ち主・作り手を表す「の」で、後ろに説明の動詞がない。「母の作った料理」は修飾節の主語の「の」で、「作った」があるので「が」に戻せる。本文の長い名詞句では、「の」の後ろに述語があるかどうかで見分けさせる。
  • 「は」と「が」(初級)修飾節の中では主題の「は」はふつう使えず、主語は「が」か「の」になる。学習者は文の主題の感覚で*「母は作った料理」と言うことがある。節の中は「が・の」と決めて板書に残す。

学習項目 7 Vること/N こそ

意味・はたらき学習項目 7

「ほかのものではなく、まさにこれ」と取り立てて強調する助詞です。「こちらこそ」「今度こそ」のような決まった言い方から入ると、意味がつかみやすくなります。書き言葉では「〜こそ〜だ」の形で、筆者がいちばん言いたいことを示すのに使われます。

接続

N+こそ/Vる+こと+こそ(「〜からこそ」「〜てこそ」の形もある)

形
N こそ 〜Vること こそ 〜〜からこそ

導入

  • 「こちらこそ」から学生に「ありがとうございました」と言わせ、教師が「こちらこそ」と返す。「私のほうが(あなた以上に)」という気持ちを説明してから、「今度こそ」「これこそ」と例を増やす。
  • 本文の主張の文で本文で筆者がいちばん言いたい文に「こそ」があれば、それを指して「なぜここに こそ があるか」と問う。強調の意味を、筆者の主張と結びつける。

板書案

N + こそ
Vる + こと + こそ
今度こそ 合格する。
毎日 続けることこそ 大切だ。
〔赤〕こその付いた語を丸で囲み、横に「ほかではなく、これ」

場面と発話(自作)

  • 何度も試験に落ちている友だちが、また受けると言った。励ます。今度こそ合格できるよ。
  • 作文で、自分の考えのいちばん大事な部分を書く。毎日少しずつ続けることこそ、上達の近道だ。
  • 相手にお礼を言われた。自分のほうがお世話になった。こちらこそ、ありがとうございました。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

作文の結論の1文を書かせ、いちばん大事な語に「こそ」を付けて書き直させる。「こそ」を付けた語が文の中で浮き上がることを読ませて確かめる。

  1. 口頭教師の言葉に学生が「こそ」で返す。キューは「ありがとうございました」→「こちらこそ」、「先週の試合は負けた」→「今度こそ勝つ」、「何がいちばん大事? 毎日練習すること」→「毎日練習することこそ大事だ」、「これが探していた本だ」→「これこそ探していた本だ」。動詞のキューでは「こと」を入れたかを全員で確かめる。
  2. ペアAが質問カードを読む(「日本語が上手になるために何が大事?」「健康のために何が大事?」「友だちを作るために何が大事?」)。Bは「〜ことこそ大事だ」と答えて理由を1つ足す。Aは「〜からこそ」で受けて自分の意見を言う。3問ごとに交替する。
  3. 産出「わたしのモットー発表」: 自分が大事にしていることを「〜こそ〜だ」の1文にまとめ、理由と経験を足して1分で話す。最後に同じ内容を作文の結論の1文として書く。教師は動詞に直接付けていないか、1つの発表で何度も「こそ」を使って強調が薄れていないかを見る。

つまずきと手当て

  • 動詞に直接「こそ」を付ける(*「続けるこそ大切だ」)。動詞は「Vること」にしてから付けると板書に残す。なお「今度こそ負けない」のように否定の文にも使えるので、否定を避けさせる必要はない
  • 「〜からこそ」を理由の「から」と同じ軽さで使う。「ほかの理由ではなく、まさにこの理由で」と意味を足す
  • 会話で多用して大げさになる。決まった言い方(こちらこそ・今度こそ)以外は書き言葉中心と言う

既習の文型との違い

  • Nは(取り立て・初級)「は」は話題を示したり、ほかと対比したりする。「こそ」は「ほかではなく、まさにこれ」と一つを強く押し出す。「今度は合格したい」は次の回を話題にするだけだが、「今度こそ」には「前はだめだったが」という気持ちが入る。
  • 〜から(理由・初級)「〜からこそ」は理由の「から」に「こそ」が付いた形で、「ほかの理由ではなく、まさにこの理由で」と理由を強める。ただの理由を言う文に使うと大げさになる。「好きだからこそ厳しく言う」のように、意外な結論を理由で支える文で練習するとよい。

学習項目 8 動詞の省略

意味・はたらき学習項目 8

文脈から分かる動詞を言わず、名詞や助詞で文を止める書き方・話し方です。見出し・箇条書き・短い答え・リズムのある文などで使われ、読むときは省かれた動詞を補って意味を取ります。省いてよいのは、前の文や場面から補う動詞が一つに決まるときです。文章の分析では、省略は前後の文をつなぐ手段の一つ(結束性)としても扱われます。

接続

名詞(+助詞)で文を止める。補う動詞は前後の文から決まる

形
〔見出し〕音楽で、心のケアを。(→ しよう)〔答え〕「何で来たの?」「電車で。」(→ 来た)

導入

  • 本文の名詞止めの文を補わせる本文で動詞が省かれている文を1つ示し、「動詞を入れるとどうなるか」を学生に言わせる。入れると意味は同じで文が長くなることを確かめ、「書き手がリズムや強さのために省いている」と説明する。
  • 会話の短い答え「どうやって来ましたか」「電車で(来ました)」のやりとりを見せ、会話でも日常的に省いていることを確かめる。

板書案

家族と 音楽を〔楽しもう〕。→ 家族と 音楽を。
「何で 来たの?」「電車で〔来た〕。」
〔赤〕省いた動詞を〔 〕で薄く書き足す
見出し・会話・メモ ○ / 作文の本文 △

場面と発話(自作)

  • ポスターの見出しを書く。週末は、家族と音楽を。
  • 待ち合わせの連絡を短く送る。3時に駅前で。
  • 先生に「宿題は?」と聞かれた。明日までに。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

短い見出しや連絡文を見せて、省かれた動詞を補って完全な文に戻させる。逆に、完全な文を見出し風に短くする練習は、作文の題を付けるときに1回だけ入れる。

  1. 口頭教師が短い文を言い、学生が省かれた動詞を補って言う。キューは「3時に駅前で。」→「会いましょう」、「明日までに。」→「出します」、「お茶でも。」→「飲みませんか」、「ごみは月曜に。」→「出してください」。補える動詞が一つに決まらないキュー(「駅で。」だけ)も出し、前の文が要ることを確かめる。
  2. ペアAが質問し(「どこで会う?」「何で行く?」「いつまでに出す?」)、Bは名詞と助詞だけで短く答える。Aは省かれた動詞を補って「駅で会うんですね」と完全な文で確かめる。3問ごとに交替する。
  3. 産出「ポスターの見出しづくり」: 学校のイベント(音楽会・清掃の日・交流会)のポスターに、動詞を省いた見出しを1つ作り、その下に動詞を入れた説明文を2文書く。教師は見出しと説明文で省略を使い分けているか、見出しから補える動詞が一つに決まるかを見る。

つまずきと手当て

  • 作文の本文(説明文)で動詞を省いて文が切れる。省略は見出し・会話・メモに限ると言う
  • 補う動詞を取り違える(「電車で」→「行った」か「来た」か)。前後の文から決まることを確かめる
  • 「〜を。」で止まる文を見て文法の間違いだと思う。意図的な省略だと教える

既習の文型との違い

  • 話し言葉の助詞の省略「水、飲む?」のような会話では助詞が落ちるが、この項目で扱うのは動詞のほうを言わない形。助詞は残るので、「電車で。」のように助詞から省かれた動詞の見当がつく。2つを混ぜると、作文で助詞と動詞の両方を落とした文が出る。
関連する文型

学習項目 9 より〜

意味・はたらき学習項目 9

副詞の「より」で、「今よりもっと」「一層」という意味です。「よりよい」「より多く」「より早く」のように形容詞・副詞の前に置きます。比較の「AよりB」と同じ語ですが、比べる相手を言わずに使う点が違います。

接続

より+形容詞/副詞/Vる(よりよい・より多く・より早く・より深く理解する)

形
より+い形(よりよい)より+副詞(より多く・より早く)より+Vる(より深く理解する)

導入

  • 比較の「より」から切り離す「AよりBのほうが」を板書して「比べる相手がある」ことを確かめたあと、「より良い方法」と書いて「何と比べている?」と聞く。「今の方法と」という答えを引き出し、相手を言わない「もっと」の意味だと説明する。

板書案

より + い形 (よりよい)
より + 副詞 (より多く・より早く)
より + 副詞 + Vる(より深く 理解する)
〔青〕Aより Bのほうが(比べる相手がある)⇄〔赤〕より〜(相手を言わない)

場面と発話(自作)

  • 会社の会議で、改善の提案をする。より多くの人に来てもらうために、案内を早めに出しましょう。
  • 作文の結論で、今後の自分について書く。これからは、より深く日本の文化を知りたい。
  • 店の掲示で、サービスの改善を知らせる。より安全に使っていただくために、入口を広くしました。

練習の進め方(口頭 → ペア → 産出)

「もっと〜」で言わせた文を「より〜」に書き換える。書き言葉・改まった話し方で使うことを、場面(会議・掲示・作文)で示す。

  1. 口頭教師が「もっと〜」の言い方を言い、学生が「より〜」に言い換える。キューは「もっといいサービス」→「よりよいサービス」、「もっと多くの人」→「より多くの人」、「もっと安全に」→「より安全に」、「もっと深く知る」→「より深く知る」。
  2. ペアAが改善したいもの(学校の図書室・駅の案内・自分の勉強のしかた)を言い、Bが「より〜ために、〜したらどうですか」と提案する。Aはその提案に「より〜」を使ってもう一つ案を足す。3つずつ交替する。
  3. 産出「改善提案スピーチ」: クラスや学校をよくする提案を、会議で話すつもりで「より〜」を2回使って1分で話す。聞く人は「より」のあとの語を書き取る。教師は「より」の後ろが形容詞・副詞になっているか、比較の「より」と重ねていないか、会議らしい丁寧さになっているかを見る。

つまずきと手当て

  • 会話で「より早く来て」と言って硬くなる。話すときは「もっと」でよいと言う
  • 「より」の後ろに名詞を直接置く(「より方法」)。形容詞・副詞の前に置くと板書に残す
  • 比較の「より」と混同して「今より」を付け足す(「今よりより早く」)。どちらか一方で足りると示す

既習の文型との違い

  • AよりBのほうが(比較・初級)比較の「より」は名詞の後ろに付いて、比べる相手を示す。この項目の「より」は形容詞・副詞の前に置き、相手を言わずに「もっと」の意味を表す。位置が前か後ろかで見分けさせる。
  • もっと(初級)意味はほぼ同じで、「もっと」は会話、「より」は書き言葉や改まった話し方に向く。友だちに「より早く来て」と言うのは文法の誤りではないが硬く聞こえる、という程度の違いとして扱う。

語彙の扱い

この課の新出語は 119 語(本文を読むための語 28・練習などの語 91)。1語ずつの意味・いっしょに使う助詞と連語・例文は語彙のページにあります。

新出語は扉・本文・内容を確かめよう・学習項目・練習の5つに分かれて出ます。本文の語は連語の形(ストレスを解消する・効果をもたらす・コミュニケーションをとる)で練習すると定着しやすく、練習の語(カタカナ語が多い)は学習項目1の「Nって何ですか」の材料にできます。

この課の練習で使う語(3語・意味・連語・例文)

  • 落ち着く 気持ちが静かになる
    試験の前、友だちが緊張している。好きな曲を聞かせる。
    この曲を聞くと、落ち着くよ。
  • 次第に 少しずつ、だんだん
    作文で、日本に来てからの変化を書く。
    最初は怖かった電車の音にも、次第に慣れていった。
  • もたらす 何かを持ってくる、生じさせる(効果を〜・変化を〜)
    レポートで、音楽の効果についてまとめる。
    音楽は、気持ちを落ち着かせる効果をもたらす。
第1課の語彙リスト(119語)新出語の意味・いっしょに使う助詞と連語・例文(自作)を五十音順に
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本文の扱い

音楽や音が人の気持ちに働きかけるという内容で、筆者が問いを立てて説明する構造になっています。大意の段階では「どんな効果があるか」を段落ごとに一言で言わせ、精読では「〜のだろうか」の問いに対する答えがどこにあるかを探させると、学習項目3と本文理解が一度に進みます。本文の文はここに載せていないので、手元の教科書で確かめてください。

宿題と次のコマ

チェックシート(2択10問)を宿題にして次のコマの最初に答え合わせ。漢字練習は「ルビなし本文」を声に出して読めるところまで。作文は「自分と音楽」で、書き出しを「〜のだろうか」の問いにする。

よくある質問

  • 『中級を学ぼう』第1課の「〜だろう」と「〜でしょう」は、どう区別させればいいですか?

    意味の違いではなく文体の違いとして見せるのが分かりやすいです。同じ推量の文を「でしょう」と「だろう」で並べ、丁寧に話す・書くときは「でしょう」、普通体の文章や独り言では「だろう」と分けます。丁寧体の文に「だろう」を混ぜる誤りが多いので、文体をそろえる練習を1回入れます。

  • 「わけがない」と「わけではない」の違いはどう説明しますか?

    「わけがない」はありえないと全部を打ち消し、「わけではない」は全部ではない、そういう意味ではないと一部を直す形です。同じ文を2つの形で並べ、それぞれをどんな人が言うかを考えさせると、否定の強さの違いが状況でつかめます。「全部ではない」と言い換えられるかどうかを目安にさせます。

  • 名詞修飾節の「が」は、いつでも「の」に替えられますか?

    替えられるのは名詞を説明する節の中の主語だけで、文の主語や目的語の「を」は替えられません。節の中に「を」の目的語があるときは「の」にすると不自然になりやすいので、書くときは「が」のままが安全だと伝えます。この課では、本文の長い名詞句を「の」に気づいて読めることを優先します。

  • 第1課は何コマで終わりますか?

    90分×4コマが目安です。学習項目1〜9に約150分を当て、扉・本文の大意・ことばの確認で1コマ目、学習項目で2〜3コマ目、内容の確認と精読・練習・チェックシートで4コマ目、という配分にすると無理がありません。作文を授業中に書かせる場合は、もう1コマ見ておきます。

  • 第1課の板書はどう組めばいいですか?

    この課は話し言葉と書き言葉を分ける課なので、黒板の左を話し言葉(って・でしょう)、右を書き言葉(とは・だろう・のだろうか)に分けておくと、項目が増えても整理が続きます。「わけがない・わけではない」と「が→の」は上下に並べて対比させ、色を決めて(赤=ありえない・替えられる、青=一部・替えられない)使い続けます。

この課に関係する用語・解説・練習問題

この課の文型を、日本語教員試験の用語でいうと何にあたるか。授業の説明に迷ったときの確認と、試験対策に。

PRこの教科書

手引きで扱っている教科書。本文・例文は手元の教科書で確かめてください。