クラッシェン(Krashen)が1980年代前後に体系化した第二言語習得理論の総称。①習得・学習仮説 ②自然習得順序仮説 ③モニター仮説 ④インプット仮説 ⑤情意フィルター仮説の5つからなる。
全体を貫く主張は、言語の力は意識的な規則学習ではなく、理解可能なインプットを受け取る中で無意識に習得されるというもの。学習によって得た知識は、産出を点検する監視装置(モニター)としてしか働かないと考える。
5つの名称と内容を入れ替えた選択肢に注意。とくに「i+1=インプット仮説」「不安=情意フィルター仮説」「指導順序では変えられない=自然習得順序仮説」の3点は必ず対で覚えること。教授法としてはナチュラル・アプローチの理論的支柱になった一方、実証性の乏しさが批判されている点も押さえておきたい。
学習者Aは文法の規則をよく覚えていて作文は正確だが、会話になると言葉に詰まる。学習者Bは文法の説明は苦手だが、日本人の友人と長く過ごしていて会話は流暢である。モニターモデルでは、Bの流暢さは習得された知識によるもの、Aの作文の正確さは学習した知識をモニターとして使えた結果、と説明される。
この理論を教室に当てはめると、文法説明の時間を減らし、学習者が理解できる量と難しさのインプットを多く与えることが重視される。教師が絵や実物を使ってゆっくり話し、学習者には無理に話させず、まず聞いて理解する時間を長くとる、という組み立てになる。ナチュラル・アプローチはこの考えを教授法として具体化したものである。
読んだ用語を1冊で引き直す・体系で押さえ直すなら。