クラッシェンの5仮説の一つ。不安が高い・自信がない・動機づけが低いといった情意面の状態が心理的なフィルターとなり、フィルターが上がるとインプットが習得に届きにくくなるとする主張。
実践的な含意は明快で、安心して発話できる雰囲気づくりそのものが習得を支える条件になる。誤りをその場で細かく訂正するほど学習者が黙り込む、といった事例の説明に使われる。
関連して、教室での発話や評価に対する不安は外国語不安(外国語学習不安)として研究されており、母語での性格とは別に外国語場面に特有の不安が生じるとされる。「学習者の不安は放置してよい」「訂正は多いほどよい」という方向の選択肢は誤り。
以前の学校で発音の誤りを人前で何度も直された学習者が、新しいクラスでも指名されると声が小さくなり、聞いた内容も頭に入りにくくなる、という場面が考えられる。情意フィルター仮説では、この不安がフィルターを上げ、教師の話が理解できる水準であっても習得に取り込まれにくくなると説明する。
教室でできる手立てとしては、ペアで答えを確かめてから全体で発表させる、誤りの訂正は活動の後にまとめて扱う、間違えても評価に直結しない活動を増やす、などがある。いずれも学習者が安心して話せる状態をつくり、フィルターを下げることをねらっている。
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