クラッシェンの5仮説の一つ。文法項目の習得には学習者の母語や指導の順序にかかわらずほぼ共通した自然な順序があるとする主張。自然順序仮説とも呼ばれる。
根拠とされたのは、英語の文法形態素の習得順序が学習者集団を超えて似通っていたとする一連の研究。ここから、教えた順序どおりには習得は進まないという含意が導かれる。
実践上は、「導入したのに数週間たっても正確に使えない」のは教え方の失敗ではなく自然な過程だという説明につながる。同じ項目に場面を変えて何度も再会させるらせん型(スパイラル)のシラバスの根拠としても引かれる。教える順序(指導順序)と身につく順序(習得順序)を混同した選択肢に注意。
初級の早い段階で助詞「は」と「が」を導入しても、上級になって使い分けに迷う学習者は少なくない。教えた時期が早くても、身につく時期が教えた順序どおりになるとは限らない。自然習得順序仮説は、こうした指導順序と習得順序のずれを、学習者に共通する自然な順序があるという形で説明しようとしたものである。
「先週教えたのに、まだ正しく使えない」と教師が悩む場面で、この仮説は教え方の失敗と決めつけない見方を与える。同じ文型を最初は自己紹介の場面で、次は道案内の場面で、さらに後の課では手紙文の中で、と形を変えて何度も扱うシラバスは、一度の導入では身につかないことを前提にした組み立てである。
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