子音を発音するとき、呼気の流れを妨げる位置。日本語では両唇(ぱ・ば・ま行、「ふ」)、歯茎(た・だ・な・さ・ざ・ら行)、歯茎硬口蓋(「し」「じ」「ち」「に」)、硬口蓋(「ひ」、や行)、軟口蓋(か・が行)、声門(「は」「へ」「ほ」)に大きく分かれる。
最大の注意点は、同じ行でも母音によって調音点がずれること。「は・へ・ほ」の子音は声門摩擦音 [h] だが、「ひ」は硬口蓋の [ç]、「ふ」は両唇の [ɸ] になる。「た・て・と」は歯茎の [t] でも、「ち」は歯茎硬口蓋、「つ」は歯茎でも調音法が変わる。
調音点×調音法の表の一マスを問う形では、「五十音の一つの行は同じ子音」という思い込みがひっかけになる。学習者の発音矯正でも、まず口のどこで音を作るかを指示できることが土台になる。
教室で「ちかてつ」を練習させると、「た行は同じ子音」と思っている学習者が「ち」を舌先で歯茎をたたくように発音し、[ti] に近い音になることがある。「ち」は舌の前の面を歯茎の後ろ寄りから硬口蓋にかけて当てる音なので、舌の位置を「し」と同じあたりに置くよう指示すると直しやすい。調音点は、このように口のどこで音を作るかを具体的に伝えるための用語である。
「はひふへほ」をゆっくり言いながら口の中の感覚に注意させると、「ひ」で舌の前の面が上あごに近づき、「ふ」で上下の唇が狭まるのが分かる。「は・へ・ほ」では口の中に狭めはなく、喉の奥の声門で息がこすれている。仮名では一つの行でも、調音点は三か所に分かれている。学習者の母語にない [ɸ] を [f] で代用する誤りも、唇と歯を使うか両唇だけかという調音点の違いとして説明できる。
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