目標言語を教えるときに、説明や指示のために用いる別の言語。学習者の母語のほか、教師と学習者に共通する第三の言語(英語など)が使われることもある。媒介語を使わない指導が直接法である。
媒介語を使えば、抽象的な語の意味、文法規則、教室の運営に関わる指示を短時間で正確に伝えられる。文法訳読法はこれを前提とする教授法である。一方で、使いすぎれば目標言語に触れる時間が減り、学習者が「日本語で理解しようとする」姿勢を失う。
現実の判断は二択ではない。初級の導入や安全・事務連絡では媒介語を使い、練習と活動は目標言語で行うといった使い分けが一般的。多国籍クラスでは共通の媒介語がないため直接法をとらざるを得ない、という条件面の理解も問われる。「媒介語の使用は常に避けるべき」という選択肢は誤り。
タイの高校でタイ人の生徒に日本語を教える教師が、初回の授業で授業の進め方や評価の方法、宿題の出し方をタイ語で説明する。一方、あいさつや自己紹介の練習は日本語だけで行う。誤解されると困る事務的な連絡は媒介語で、言葉を使う練習は目標言語で、と使い分けている。
国籍の異なる学習者が集まる日本の日本語学校では、学習者の母語がそろっておらず、全員が英語を理解できるとも限らない。共通の媒介語がないことが、絵や実物、ジェスチャーで意味を伝える直接法が選ばれる理由になる。どちらの環境でも、媒介語を使うかどうかは目的と条件から判断する。
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