ある語が敬意を表すために繰り返し使われるうちに、その敬意がしだいにすり減っていく現象。敬意が薄れると、話し手はより敬意の高い新しい形式を求め、敬語形式が次々に交替していく。
「貴様」「お前(御前)」がもとは相手を高める語だったのに現在は対等以下の扱いになっていること、謙譲の「〜てあげる」が「(花に)水をあげる」のように、敬う相手でない動植物にまで使われるようになったことなどが典型例。丁寧さを補うために「〜させていただく」のような形式が多用され、やがて過剰と受け取られていくのも同じ動きとして説明される。
敬語の「乱れ」に見える現象の多くが、規範からの逸脱ではなく敬語体系の自然な新陳代謝である、という見方につながる。試験では敬意が上がる方向に書き換えた選択肢が誤り。
「貴様」は、字のとおり相手を貴いものとして呼ぶ、もとは敬意の高い語だった。しかし長く使われるうちに敬意が薄れ、現在では相手を見下したり、けんかの場面でののしったりするときの言葉になっている。「お前」も、もとは「御前」として目上の人を指していたのが、今では対等以下の相手に使う語になっている。
「〜させていただきます」は、もとは相手の許可や恩恵を受けて行うことをへりくだって述べる形だった。丁寧さを出すために、許可とは関係のない場面でも「発表させていただきます」「休業させていただきます」のように広く使われるようになり、使われるほど丁寧さの感じが弱まり、聞き手によっては過剰だと受け取られるようにもなっている。
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