話し手の属性や所属集団、使われる場面などによって使い分けられる語彙。性別・年齢・職業・階層などの違いに対応して現れる語のまとまりを指し、その違い自体は位相差と呼ばれる。「位相」は、話し手の属性や集団による違いに加えて、場面や話しことば・書きことばといった様式による違いまで含めて使われることが多く、範囲は論者によって幅がある。
具体例としては、女性語とされる「あら」「〜だわ」、幼児語の「ワンワン」「ブーブー」、僧侶や商人などの集団語(職業語・仲間ことば)、学生や業界内でだけ通じる隠語などがある。若者言葉も年齢層による位相差の一つとして扱われる。
位相語のうち、話し手の属性や集団による違いは「使う人」の軸で、文体・待遇レベルのような「場面」の軸とは分けて考える。また、位相語は実態というよりその集団らしさのイメージを担っていることが多く、役割語と地続きの現象である。
保育園で先生が子どもに「ワンワンがいるね」「お手々を洗おうね」と話しかける。「ワンワン」「お手々」は幼児や幼児に話しかける大人が使う語で、大人どうしの会話では「犬」「手」と言う。同じものを指していても、使う人と相手によって選ばれる語が違うのが位相語である。
病院で働く人どうしが手術を「オペ」と言ったり、テレビの制作現場で予定より時間が延びることを「押す」と言ったりする。仲間うちでは短く便利に通じるが、外の人には分かりにくい。日本語学習者が職場でこうした集団語に出会うと、辞書の意味だけでは理解できないことがある。
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