カミンズ(Cummins)が区別した2種類の言語能力。BICS(Basic Interpersonal Communicative Skills)は、場面の手がかりに支えられた日常会話の力=生活言語能力。CALP(Cognitive Academic Language Proficiency)は、文脈の支えが少ない抽象的な内容を扱う力=学習言語能力である。
習得に要する期間が大きく違い、BICSはおよそ1〜2年で身につくのに対し、CALPは5〜7年かかるとされる。「日常会話は流暢なのに教科の学習についていけない」という現象は、この差で説明される。
会話の流暢さから学習言語も十分だと判断してしまう見かけの流暢さの落とし穴が、事例問題で押さえたい点。カミンズはあわせて、二つの言語の基底が共有されるとする共有基底言語能力(CUP)や相互依存の仮説も示している。
来日2年目の小学4年生が、休み時間には友だちと冗談を言い合い、先生の指示にもすぐ反応する。ところが社会科で「この地域で米づくりがさかんな理由を、資料をもとに説明しなさい」と言われると手が止まる。前者は場面に支えられたBICS、後者は抽象的な内容を言葉で扱うCALPが求められる場面である。
教師が「会話がこれだけできるのだから、教科の遅れは努力の問題だ」と判断してしまうと、必要な支援が届かない。図や実物を使って文脈の手がかりを増やす、キーワードを前もって確認するといった工夫は、CALPを要する課題への橋渡しになる。支援を減らす時期は、会話の様子ではなく、教科の課題にどこまで取り組めるかで見極める。
読んだ用語を1冊で引き直す・体系で押さえ直すなら。