正の転移と負の転移 — 日本語教員試験 応用試験 練習問題 第22問(基本60問)
次の学習者の産出例・質問を読んで、問いに対して最も適切なものを一つ選びなさい。
研修資料には「既に知っている言語の知識が、別の言語の学習を助ける場合を正の転移、妨げる場合を負の転移という」と書かれている。英語母語話者のOさんは、「私は肉を食べません」という意味で、作文に「私は肉をない食べます」と書いた。本人は「英語の I do not eat meat. の not のように、日本語でも否定の『ない』を動詞の前に置けばよいと思った」と説明した。一方、中国語母語話者のPさんは、「図書館」「経済」など、中国語と意味が共通する漢字語を、初めて見た語でもすぐに理解できている。本人は「中国語の漢字の知識で意味が分かる」と話している。
二人に見られる母語の知識の影響の説明として、最も適切なものはどれか。
○答えと解説を見る
正解: ③ Oさんには負の転移が、Pさんには正の転移が見られる
この問題のテーマ:正の転移と負の転移
既に知っている言語の知識が、別の言語の学習や使用に影響することを転移と呼びます。Oさんは英語の否定の語順を日本語に当てはめた結果、「食べません」と言うべきところで日本語として成り立たない形を作っているので、負の転移(干渉)と判断できます。Pさんは中国語の漢字の知識が理解を助けているので正の転移です。転移は音声・語彙・文法・語用などさまざまな面で起こります。ただし、誤りのすべてが母語によるものではありません。実際の誤用分析では、母語と似た形が出たことだけで原因を断定せず、学習者本人の説明や、多くの学習者に共通して現れる発達上の誤りなど、ほかの可能性も確かめます。