自分の言語を使う権利、および自分の言語で教育・司法・行政のサービスを受ける権利。言語的人権とも呼ばれ、基本的人権の一部として位置づけられる。
内容は大きく2つ。母語を使い、受け継ぎ、母語で学ぶ権利(母語への権利)と、社会の主要言語を学び、それによって社会に参加する権利(主要言語への権利)である。どちらか一方だけでは足りず、母語の維持と現地語の習得は対立するものではないという立場がとられる。
日本語教育の文脈では、日本語を教えることが母語を奪う同化に転じないか、という問いとして現れる。「日本にいるのだから日本語だけを使うべき」という同化主義的な選択肢は誤り。複言語・複文化主義や、継承語の維持支援の根拠にもなる。
日本に住む外国籍の住民が、病院で医療通訳を利用できたり、役所の窓口で母語の案内を受け取れたりすることは、自分の言語で行政や生活のサービスを受ける権利と結びつけて考えられる。同時に、その人が地域の日本語教室で日本語を学び、社会に参加できるようにすることも、言語権の一部としてとらえられる。
学校で日本語指導を受ける子どもに「家でも日本語だけを話しなさい」と指導すると、家庭での母語の使用が減り、親子の会話や本人のアイデンティティに影響が出ることがある。言語権の考え方に立つと、日本語の習得を支えることと母語を保つことを、両方大切にする支援が求められる。
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