日本語教員プラネット 日本語教員試験 対策の問題集

翻案(ほんあん)

区分4 言語と教育 ・ 日本語教員試験の用語

既存の著作物に依拠し、その表現上の本質的な特徴の同一性を保ちつつ、具体的な表現に修正・増減・変更などを加えて新たに創作的に表現し、元の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感じ取れる別の著作物を作ること。この定義は2001年の最高裁判決(江差追分事件。言語の著作物についての判断)による。著作権法第27条は、著作者が著作物を翻訳し、編曲し、変形し、脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有すると定めている(翻案権など)。

日本語教育で問題になりやすいのが、新聞記事などをやさしい日本語に書き換えて教材にする行為。元の表現の本質的な特徴を保ったまま新たな創作的表現を加えて書き換えれば翻案にあたり、著作者の意に反する改変を受けない同一性保持権(第20条)にも関わる。一方、記事から事実だけを取り出して自分の表現で書く場合は、翻案にはあたらない。翻案にあたる場合は、第35条の範囲内で行うか(第47条の6)、許諾を得るかの判断が必要で、著作者人格権は別に考える(第50条)。

具体例

新聞記事をもとに、文の順序や構成、印象的な言い回しを残したまま、初級向けに語彙や文を書き換えた読み物を作るとする。元の記事の表現上の本質的な特徴が直接感じ取れ、そこに新たな創作的な表現が加わっていれば翻案にあたり(手直しがごくわずかなら、実質的には複製にとどまる)、第35条の範囲内で使うか、許諾を得るかを判断することになる。

これに対し、複数の記事から「いつ・どこで・何が起きたか」という事実だけを拾い、自分で構成を考えて一から書いた文章は、元の表現を利用していないので翻案にはあたらない。やさしい日本語の教材を作るときは、どちらの作り方をしているかを意識しておく。

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