大文字の文化は文学・芸術・歴史・制度など、知識として学ばれる文化。小文字の文化は、あいさつの仕方・時間の守り方・断り方といった日々の振る舞いとしての文化。
日本語教育の現場で摩擦の原因になるのはほぼ後者であり、しかも当事者にとってはあまりに当たり前で言語化されていない。だから教える側も、まず自分の小文字の文化に気づく必要がある。
日本語の授業で俳句や歌舞伎、日本の歴史を扱うのは、大文字の文化の学習である。一方、「お先に失礼します」と言って職場を出る、誘いを断るときに「その日はちょっと…」と言葉を濁す、といった振る舞いは小文字の文化にあたる。学習者が職場や学校で戸惑うのは、多くの場合こちらのほうである。
教師が学習者の数分の遅刻を強く注意するとき、時間の守り方についての教師自身の感覚が判断の基準になっていることがある。自分が当たり前だと思っている振る舞いを書き出してみる、学習者の国では同じ場面でどうするかを聞いてみる、といった活動は、教える側が自分の小文字の文化に気づくきっかけになる。
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