文化的中心地で生まれた新しい語形が波紋のように周辺へ広がるため、中心から等距離の地域に古い語形が同心円状に残る、という方言分布の説明原理。柳田國男が『蝸牛考』でカタツムリの語形分布をもとに示した。
同心円の外側ほど古い形が残るという前提から、分布は言語の歴史を映すという考え方が導かれる。東西で語形が対立する東西対立分布とは分布のかたちが異なる。
日本語を地理的にどう区切るかを論じるのは方言区画論(東条操の本土方言/琉球方言の大別など)で、分布の成立を説明する周圏論とは目的が別。この2つを入れ替えた選択肢に注意。
柳田國男が調べたカタツムリの呼び名では、京都を中心に、近い地域から遠い地域へ向けて「デデムシ」「マイマイ」「カタツムリ」「ツブリ」「ナメクジ」といった語形が輪のように並んでいるとされた。京都から遠く離れた東北と九州に同じ古い語形が見られることが、周圏論の根拠とされた。
周圏論の考え方を使うと、離れた2つの地域に同じ語形が見られるとき、それを偶然とは考えず、かつて中心地で使われていた古い形が両方に残ったものと解釈できる。ただし、すべての語がこの形で分布するわけではなく、東と西で語形が分かれる語もある。分布の形を見て、どの説明が当てはまるかを考える必要がある。
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