相手の言動に出会ったとき、すぐに評価を下さず、いったん判断を保留して観察を続ける態度。
自分のものさしで即座に「失礼だ」「おかしい」と判断してしまうことが、異文化間の摩擦の入口になる。判断を保留して描写と解釈を分ける訓練は、そのまま観察力の訓練にもなり、教師が学習者を見立てるときにも効く。DIE法の「描写」の段階にとどまる構えとも重なる。
ある学習者が教師の質問に答える前に長く黙っていたとする。すぐに「やる気がない」と判断するのではなく、まず「質問の後、しばらく黙っていた」と事実だけを捉え、理由の候補を複数挙げてみる。慎重に考えていたのかもしれないし、質問の意味が分からなかったのかもしれない。評価をいったん保留することで、本人に確かめる余地が生まれる。
保護者との面談で、相手が約束の時間に遅れても謝らずにほほえんでいたとき、「失礼だ」と感じた自分の反応に気づき、それをいったん判断として脇に置く。そのうえで、時間の感覚の違いなのか、別の事情があったのかを観察を続けて考える。エポケーは感じることを禁じるのではなく、感じた評価をすぐに結論にしない構えである。
読んだ用語を1冊で引き直す・体系で押さえ直すなら。