言葉として明示していないのに伝わる意味が含意。グライス(Grice)は、会話が協調の原理のもとで行われるとし、量(過不足なく)・質(真であることを)・関係(関連あることを)・様態(明瞭に)の4つの格率を立てた。格率にわざと違反すると、聞き手はその裏を読んで会話の含意を引き出す。
「一緒に行きませんか」に「あした試験があるんです」と返して断りを伝えるのが典型例で、これは関係の格率に一見違反することで成り立っている。含意はあとから取り消せる(「あした試験があるんです。でも行きます」)のが特徴である。
これに対し前提は、文が成り立つために前もって真とされている情報で、否定しても保たれる点が含意と異なる。「太郎はたばこをやめた」も「やめていない」も、どちらも「以前は吸っていた」を前提とする。前提の押しつけ(「いつから知っていたんですか」)が相手を縛る働きをもつ点も、談話分析で扱われる。